BMIだけじゃない!体組成計で知る健康の全体像についてご紹介。

Q.体組成計で測る体脂肪率って何?BMIの数値だけじゃあダメなの?
A.体脂肪率とは言葉の通り、身体に占める脂肪の割合のことを言います。BMIは身長と体重さえわかっていれば求めることができるので非常に便利ですが、例えば筋骨隆々のアスリートであれば筋肉の重さによって自然とBMIは高くなる傾向があります。しかし、あくまでも脂肪ではなく”筋肉”の影響で重たくなっているので、そういう場合はBMI25以上だからといって必ずしも問題のある肥満かと言われるとそういうわけではありません。

 

以前にブログでも少し触れたBMIですが日本肥満学会の基準ではBMI25以上が肥満であるとされますが、BMIが25以上だからといって必ずしも肥満で良くないといったことにはなりません。(※BMI=体重(kg) ÷ 身長(m)の2乗)

(以前の内容は痩せていることのデメリットって何?参照)

というのも冒頭でもあるようにアスリートなどであれば、そもそも一般の人と比べて筋肉の量が多いので体重は自然と重たくなります。

そのためBMIのように身長と体重の数値だけで求める指標では簡略化されすぎており、正しい評価とは言い難い部分もでてきます。

それに何もアスリートだけでなく、一般人同士であってもBMIが同じだったとしても身体の中身は大きく異なっている場合は大いに有り得ます。

そうした面を無視しないためにも体重と身長といった表面的な数値だけでなく、

その人の身体の中はどの組織がどのくらいの割合占めているのかといった中身の評価も重要になってきます。

この身体に占める各組織の割合の評価、言い換えると中身の評価とも呼べるものが身体組成になります。

なぜそういった中身の割合の評価が重要なのかと言いますと、例えば脂肪量の増加は身体機能低下と関連があり、筋肉量や骨密度の高さは身体機能の良い予測因子になることがわかっています。

そのため結論を言うと、筋肉や骨の量を維持しつつ、反対に過剰にある脂肪量を減らすことは加齢により出てくる機能障害を軽減するために有益であると考えられています。

(参照:Hyehyung Shin et al:Relationship of Physical Performance with Body Composition and Bone Mineral Density in Individuals over 60 Years of Age: A Systematic Review.Journal of Aging Research.2011. Article)

こうしたことから単純に身長に対する体重だけを気にするのではなく、体組成計を用いて自分の身体に占める脂肪量や筋肉量を把握しておくことでBMIだけの評価と比べて、更にもう一段階詳しく自分の身体機能(及びその予測)について知ることができます。

近頃では一般的になってきたので家庭で使用されている方も多いかもしれませんが、体組成計を用いることで測ることのできる体脂肪率、、、

そもそもあの体脂肪率とはどのように測っているのでしょうか?

その測定方法を知ることで、市販の体組成計でも身体組成をある程度正確に測定する方法がわかるのでそれについて少し触れていきます。

あれは生体電気インピーダンス法と呼ばれる方法で、原理としては身体に微量の電気を流し、その電気の通りやすさから体脂肪量を測定しています。

(インピーダンスとは”電気抵抗”を意味します。)

電気の通りやすさで脂肪量を測る?

と聞くとピンとこないかもしれませんが、例えば水が電気を非常に通しやすいことは皆さんご存知だと思います。

実は筋肉と脂肪では水分量が異なっており

  • 脂肪の水分量は約20%
  • 筋肉の水分量は約80%

と言われています。

この組織特性(水分量)の違いから筋肉のほうが脂肪と比べて電気が通りやすいことがわかります。

こうした組織による電気の通りやすさ、通りにくさを利用し体脂肪量を測る方法が生体電気インピーダンス法なのです。

ただこの生体電気インピーダンス法は電気の通りやすさによって体脂肪量を測るといった特徴故の注意すべき点があります。

まず先に結論を言うと、

できるだけ正確な数値をとりたいのであれば、測定する時間や条件は同じにすることが重要になります。

生体電気インピーダンス法による測定は先述したように水分量に影響を受けるので、例えば水分の摂取量脱水による影響を強く受けます。

そのためサウナや激しい運動で汗をかいた直後や、水を大量に飲んだ後では影響を受けてしまう可能性があります。

また体組成計には足だけで測るタイプや手で測るタイプ、もしくは両方で測るタイプがありますがそれによっても差が出る要素が存在します。

例えば足で測定する体組成計であれば、朝よりも夕方や夜に測定した方が体脂肪量が低く出る傾向にあります。

なぜかと言うと、私たちは日中は基本的に起きて活動していると思いますが重力の関係で体内の水分は時間の経過につれて下(足)の方に溜まってきます。

組織の特性で脂肪よりも筋肉の方が水分量が多いことを説明しましたが、足に水分が溜まっているということは言い換えると、体組成計の触れている部分(足)の水分量が多い状態であることを意味します。つまり体脂肪量が低く出てしまうのです。

ちなみに手だけで測る体組成計ではその反対の原理で、体脂肪量は朝に測る方が低く、夕方に測る方が高く出る傾向があります。

私が普段職場で使用しているのは手と足の両方で測定するものですが、そうした両方で測るものの方が誤差が少ないのはそういった理由があります。

ただそれでも、もし手や足が濡れていると電気が通りやすく体脂肪量が低く測定されてしまったり、逆に乾燥しすぎていると高く出ることもあるので測る際の触れる部分の状態にも少し注意が必要です。

スポーツジムに通っている方であれば本格的なもので測定することができる機会もありますが、そうでない方は市販のものでも良いと思います。

ただその際は最低限、今紹介した点などに注意し日々測定していただくと、誤差をある程度抑えることができるのでオススメです。

おさらいすると

  • 足で測るタイプの体組成計は夕方になると体脂肪率が低く出やすい。
  • 手で測るタイプの体組成計は朝に測ると体脂肪率が低く出やすい。
  • 水分の過剰摂取直後、反対に脱水状態や汗をかいた直後は誤差が生じやすいので注意。
  • 測定する際の接触部位(手や足)が濡れている、もしくは乾燥しすぎていると誤差が生じやすい。
  • 測定する際は時間などの条件をなるべく一致させるのがポイント。

これらに気をつけて測定していただければと思います。

ちなみに私が職場で実際に使用しているものはタニタの体組成計なのですが参考程度に1番下に紹介しておきます。

これは以前にブログで紹介した見かけの筋力低下の有無などを評価する際に実際に使用しており、体脂肪量だけでなく筋肉量も測定することができます。

(以前のブログは 見かけの筋力低下とは? 参照)

お値段も張るのでさすがにここまでの質は求めなくても良いかもしれませんが、市販のものの中ではこの上なくとても優秀なものなのでこだわりのある方にはオススメです。

 

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