今日は最近読んだ本の中でオススメの本をご紹介したいと思います。
突然ですが、“ヘルスリテラシー”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ヘルス(health)は健康、リテラシー(literacy)は読み書き能力を指し、それらを組み合わせた言葉です。
朝日新聞にヘルスリテラシーについて書いている記事を見つけたので参照します。
(参照:ヘルスリテラシーって何?医療情報をうまく活用するには)
この記事内ではヘルスリテラシーを健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のこととしており、これによって生活の質の維持・向上させることができるものといった説明がされています。
要は健康情報に対する収集も含めた正確な情報処理能力のようなものです。
日本では最近は一時よりはだいぶ落ち着いてきた印象のある今回のコロナ問題然り、そういったことに限らず、ある程度の医療・健康関連についてのリテラシーがあるのとないのとでは、生活の質が大いに変わってしまうといっても過言ではありません。
ちなみに先ほど参照した記事に書いてある
- 正確な情報には必ず不確実性(効果が100%保証されているわけではないこと)が伴う。
- 情報を利活用するためには不確実性に耐えつつ決断・行動の意思決定を行うことが重要。
(引用:ヘルスリテラシーって何?医療情報をうまく活用するには)
といった内容も非常に重要であるので、機会があればこのブログでも取り上げたいなと思います。
不確実下での意思決定とは非常に難しい問題ではありますが、そうした難しい状況を理解した上で、この記事では以下のように書かれています。
不確実性のあることはいやだと放棄したり、過度に失敗を恐れたりすることは、「◯◯するだけで病気知らず」「運動しなくても◯◯だけ飲めばダイエット成功」といった不正確で信頼性の低い情報に惑わされてしまうことにつながりかねません。
これでは、せっかく情報を「入手」「理解」「評価」する能力を身に着けても元の木阿弥(もくあみ)です。
ですから、ヘルスリテラシーの最後の関門である情報の「活用」能力を鍛えるためには、正確な健康情報には必ず不確実性が伴うことを知り、その不確実性に耐えつつ、決断・行動の意思決定をすることが重要になってくるのではないでしょうか。
本当にその通りだと思います。
医療に限らず、経済学の世界でもこの“不確実性”という言葉は非常に関連の深い部分ではあるので、いつか経済学に絡めても書いてみたいなと思います。
本のご紹介の前置きではありましたが、この記事は読んでいて損はないと思うので良ければご参照ください。
今日は最近読んだ本の中で、そんなヘルスリテラシーに関わることについての個人的なオススメの1冊をご紹介したいと思います。
それがこちら↓
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何気なく近所の小さな本屋さんで見かけ、性懲りも無くタイトルに吊られて中身を確認してみました(笑)。
私は先月の半ば頃に手に取って読んだのですが、この本自体は2021年9月21日と最近出た本のようです。
こうしたタイトルの本の中には問題だらけのトンデモ本も混じっているのですが、気になり立ち読みでパラパラと実際に中を読んでみると、、、
非常に良い本でした。
期待せずに立ち読みをしたのに、思いの外良かったため私はその場で即買いました。(笑)
私が良かったと感じた点は
- とにかく読みやすい。
- 非常にバランスのとれた内容である。
といった2点に尽きます。
この2点について簡単に書いていきます。
・とにかく読みやすい。
この本は終始、平易な言葉で分かりやすく説明されています。読む方によって印象は少し変わるかもしれませんが、読書好きな私からすれば文章量も少なく、買ったその日の内にあっという間に読みきることができました。
そのため、医療情報を得る上で気をつけたいと思ってはいるものの、どこから気をつけたら良いのかわからないといった人や予備知識のない方に対しても入門書としてオススメできる本だなと感じました。
この本で取り上げられた内容で更に詳しく知りたいことについては、その他書籍を参考すると良いと思いますが、まずは全体像や概念を知る上では非常に有用であると思います。
・非常にバランスのとれた内容である。
そして私が非常に気に入ったのが本書のバランスです。これは一言に素晴らしいと感じました。
まず目次の構成としては
- プロローグ。どの情報を選ぶかが、あなたの健康を左右する!?
- 第1章:健康情報はここを疑え!-情報を見極めるための8つの掟-
- 第2章:メディア情報との付き合い方
- 第3章:選んだ情報から「白黒つける」-意思決定のポイント-
- おわりに
といった構成になっています。
内容はバランスよくカバーされており、情報の質に関わる因果関係の導き出し方や見極め方について簡単に紹介されていたり、情報の向き合い方やオススメのウエブサイトなどについても本書内でご紹介されています。
またエビデンスについても当然ながら紹介されていますが、その重要性を説明するだけに留まらず、
エビデンスレベルの最上位であるRCTだけを絶対視するのでもなく、それぞれの研究の利点・欠点を知り、利用できる根拠を求めた上でそれをチェックしつつ、自分の持つ疑問解消や意思決定につなげていくことが大切であるといった旨が書かれていました。
丁度、このブログで近いことをいつか書こうと考えていたので個人的には非常に痒いところに手の届いた本でした。(笑)
またそれ以外にも人のバイアスについてやエビデンス以外の意思決定に関わる要素などについても書かれており、文章の表現共に終始、バランスのとれた内容であると感じました。
また余談ですが個人的に面白かったのが本の極一部であり、著者も「健康・医療情報からは離れてしまいますが、」と前置きをした上で、
2020年の米国大統領選の話でQアノンのことについて触れていたのが少しツボでした。わかる人にはわかると思いますが、まさにここでその話を出すとはと思いました。(笑)
政治的な話は今のところ、私のブログでは極力取り上げたくないのでこれ以上は言及しませんが、こういった本でそこに触れていたのが色んな意味で少し面白かったです。
情報リテラシーは本当に大事ですね。^^;
・おわりに
話を戻すと今回紹介した本は一般書ながらも、質の高い情報を得る上で必要なことについてのカバー範囲が広いだけでなく、個人的にはその書かれている各要素の取り上げ方のバランスも絶妙でした。
読みやすいながらも私自身勉強になり、近年読んだ一般書の中では非常に良書であったと感じたので今回ご紹介させていただきました^^
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