今日は久々に減量について書いていきます。
減量をしすぎることについてのデメリットについては以前に書いたことがあるので、ご興味ある方はそちらもご参照ください。
(以前のブログは 痩せていることのデメリットって何? をご参照ください。)
以前にも書きましたが、減量は究極的には消費カロリーと摂取カロリーの差によるものです。
そのため当然ながらアプローチとしては
- 消費カロリーを増やすか
- 摂取カロリーを減らすか
といった形となります。
そして消費カロリーに対してのアプローチとしては運動、
摂取カロリーに対してのアプローチとしては食事が代表例としてあげられます。
ここで気になるのが、、、
皆さんは減量する際に”食事”と”運動”のどちらに力を入れてますでしょうか。
そして実際にはどちらが重要になってくるのでしょうか。
先に結論を言うと、
両方共に併行して行うのが良い
となります。
少し意地悪いような、当たり前のような結論となってしまい申し訳ないですが、、^^;
このことについてもう少し詳しくご紹介します。
今回は減量に焦点を当てたランダム化比較試験で、かつ追跡期間が1年超のものである80件の研究をまとめた論文を参照してみます。
その論文を読むと減量に対して8種類の介入方法の結果がまとめられています。
減量に対する8種類の介入とは以下になります。
- 食事に対する介入のみ→エネルギー摂取量を減らした食事。
- 食事および運動の併用→低エネルギー食及び運動の具体的な目標と介入。
- 運動のみ→運動の推奨またはその支援。
- 食事の代替品の使用→1日2食以上、低エネルギー食の補助として使用。
- 超低エネルギー食→1日800kcal以下の食事
- 体重減少薬(2種類)→オルリスタットまたはシブトラミン。
- アドバイスのみ→(減量方法について口頭もしくは書面)
それらの各結果をグラフにしたものが以下になります。
(Marion J Franz et al. Weight-loss outcomes: a systematic review and meta-analysis of weight-loss clinical trials with a minimum 1-year follow-up.J Am Diet Assoc. 2007 Oct.より引用)
減量に対しての介入で運動のみのものが上から2番目の黄色の線、
食事のみの介入が上から3番目の濃い青色の線になります。
そしてそれらを掛け合わせたもの(運動と食事)が緑色の線の結果となっています。
具体的な数値でいうと、
- 運動のみ:6ヶ月で平均2.4kg(2.7%)、24ヶ月で平均1.0kg(1.0%)の減少。
- 食事のみ:6ヵ月で平均4.9 kg(5%)、12ヶ月、24ヶ月、48ヶ月ではそれぞれ4.6~4.4~3.0kg(4.6%、4.4%、3.0%)の減少。
- 運動と食事:6ヶ月で平均7.9kg(8.5%)、12ヶ月まで体重減少は停滞し36ヶ月および48ヶ月では3.9kg(4%)の減少。
となります。
48ヶ月といった長期のアウトカムではやや差が小さくなっていますが、結果としてはどちらか一方よりは運動と食事の併用の方が良いことがわかります。
ただ先ほどのグラフを見てもわかるように、その他どの介入も開始してから最初の6ヶ月で体重の減少は概ね頭打ちとなり、それ以降の効果はイマイチであることがわかります。
そのため同論文の中でも体重管理プログラムの重点は、体重減少のみに焦点を当てたものから、体重減少を維持しながら体重減少を続けるものへと発展させる必要があると書かれています。
介入は続けていたとしても、体重の減少は6ヶ月ほどのところで頭打ちになってしまいますがここで注意したいのが、だからと言ってこういった減量の介入を完全に中止すると、体重の再増加が起こる可能性が高いと言われています。
何かしらの努力を継続しているからには、そのまま右肩下がりで減量してほしいと感じるのが人間の性ですがそういうわけにもいかないようです^^;
ただここで嫌になってやめてしまうと更に増えてしまうということは、精神的に辛いところはありますね。
6か月程度で効果が頭打ちとなってはいますがただ同時に、研究中はどの介入も介入当初のベースラインの体重に完全に戻った例はなかったと報告しています。
そのため、効果がなくなったように見えても介入を続けていれば開始当初を超えるようなことは起こらないであろうことが予想されます。
またそれ以外で気になるところは、上のグラフを見ても予想はしていたところではありますが、減量に関しては”アドバイスのみ”ではほとんど効果がないことがわかります^^;
ということは、このブログでも減量方法についていくら書いても結果には結び付かないかもしれませんね^^;(笑)
それ以外にもこの論文により示唆されることは、減量に関しては運動のみでは非常に少ない効果しか見込めず、減量を目指すなら食事の介入が必須であり、更に理想を言うと食事と運動の両方の介入を行った方が良いことがわかります。
冒頭での減量に対して食事と運動のどちらがより効果的かといったあえて二者択一で答えるとなると、減量という結果のみに関して焦点を当てた際は”食事である”と言えると思います。
ただこれも1つ補足を入れると、同論文内でも
体重減少の維持に対する運動の効果はわずかであったものの、健康的なライフスタイルの一部として身体活動を推奨すべきである
と書かれています。
その理由としては運動は減量以外にも
- 脂質レベル
- インスリン感受性
- 全死亡率
- 心血管疾患死亡率
などの改善に繋がるためと書かれています。
ちなみに減量という結果だけを見ると、超低エネルギー食(800kcal/日)はすごい減少率なのである程度の短期で見ると、結果も目に見えて減量していくので魅力的ですが同時にそこからの戻り具合も急なのは抑えておきたいところですね。
今回紹介した内容について書かれたこの論文は無料で全文読めるので、もしもっと細かい内容についても知りたい方や気になる方はこちらをご参照ください↓
私はついつい健康面に比重の重きを置く傾向があるので、個人的には減量を目指す人にも損はないので是非運動は取り入れていただければなと思っています^^
生活習慣病に焦点を当てた減量については以前に軽く書いたことがあるので、ご興味ある方はこちらもご参照ください↓
〜雑記〜
私自身としては推奨はできませんが、美容体重やシンデレラ体重などの美容というメリットから見て減量を目指すのは1つの価値観として自由ですし、頭ごなしにそこを否定すべきではないかなと個人的には思っています。
また人によって理想的な体重にはバラツキがあるとも考えているので、紋切り型に述べるのが難しいといった面もあります。
ただお節介ながらアドバイスをすると、少し過剰な減量を目指すにしても最低限は減量(のしすぎ)により生じてくるリスク(デメリット面)も知った上での意思決定をお勧めしたいところです↓
特に健康に関わることですし、目先の減量のみに目を奪われて健康を損なってから知らなかったとなってしまっては辛いものがありますもんね^^;
メリットとデメリットを知った上での、その後の意思決定の部分に関してはつまるところ、本人の価値観によるものなのでそこまで強制することは筋違いですしそこは自由であるべきだと思います。
実際にスタイルが良くなって自分に自信がついたり、自己効力感が満たされるならそれは有益でありますし^^
(ただそれもバランスをとって健康面には気をつけてほしいところです(笑))
あくまでこのブログもそうした多様な意思決定の一助になれば幸いです。
私もどんな物事でもなるべくメリットとデメリットの両方を知った上で決めていきたいものですが、ついつい合理的でない選択もよくしてしまいます(笑)
そうした不合理である人間臭さも私は好きですしある程度の不合理さは必要だとも思いますが、こうした合理的・不合理な面に関しても上手くバランスをとっていきたいですね。