今日はストレッチについて取り上げたいと思います。
内容に関してはタイトル通りではありつつも、個人的にはあまりこういったタイトルのつけ方は好きじゃないのですが、取り上げたい内容がこの通りなのでこのようなタイトルにしました。
ただ、誤解を生みたくないのでまず最初に断っておきたいことがあります。
これからご紹介する内容は少し一般的な感覚からはずれていることが予想されますが、ストレッチが必要ないという結論ではないということは先にお伝えしておきたいと思います^^;
ただ専門家界隈では広く知られていることでも、一般的にはまだ広く認知されていないような知見も時にはご紹介すると面白いかなと思い、今回取り上げさせていただきます。
1.ストレッチ効果の科学的根拠について。
ストレッチの導入目的。
ストレッチといえば学校の体育や部活動などでも運動前の準備体操実施したことがある人は多いかもしれません。
ただそうした準備体操のストレッチですが、どういった目的で皆さんはしていたでしょうか?
そうした問いかけの答えとして
といったものや
と捉えてストレッチを取り入れていた方もいるかもしれません。
運動前後に行うストレッチに筋肉痛予防や傷害予防の効果はない?
しかし、ACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインにも書かれていることなのですが
実際に運動前後のストレッチが筋肉痛に影響を及ぼすかといったことを明らかにするために行われたシステマティックレビューを参照すると、筋肉痛に対するストレッチの影響は認めず、筋肉痛軽減効果はないとしています。
(参照:Rob D Herbert et al..Effects of stretching before and after exercising on muscle soreness and risk of injury: systematic review. BMJ. 2002)
また同論文に新兵を対象に運動前のストレッチの傷害リスクへの影響を調べた研究が2つ紹介されていますが、その結果はストレッチをしていた群とそうでない群で差を認められませんでした。
以前に生存曲線というものをご紹介したことがありますが、この2つの研究に関してもそうした生存曲線が取り上げられています。
それを見ると下の図のようにストレッチをした群もそうでない群も同じように推移していることがわかります。
↓
(引用:Rob D Herbert et al..Effects of stretching before and after exercising on muscle soreness and risk of injury: systematic review. BMJ. 2002)
(以前のブログは肩こりや腰痛の発症リスクを減らす4つの生活習慣とは?参照)
また別の論文でスポーツにおける傷害予防ツールとしてストレッチの有効性に関するをエビデンスを評価したシステマティックレビューにおいても、ストレッチが傷害予防となるような結論は得られませんでした。
(参照:Stephen B Thacker et al. The impact of stretching on sports injury risk: a systematic review of the literature.Med Sci Sports Exerc. 2004 Mar)
運動前後に怪我をしないためにストレッチを行っている方も多いと思うので、この結果は何ともショックを受けてしまいそうな内容ですね、、、^^;
2.ストレッチに対する適切な捉え方とは?
ここで終わってしまうと誤解を生んでしまいそうなので、少し補足したいことがあります。
先ほどご紹介したような論文を参照すると運動前後のストレッチに筋肉痛の予防や傷害予防効果は見込めないことがわかりますが、、、
補足事項。
ここで注意したいことがあります。
同論文を読んでいただければわかることなのですが、先ほど紹介したようにストレッチに傷害予防効果は認められないとしながらも、
あくまでも運動前後のストレッチは推奨するにしても、中止するにしてもエビデンスがまだ十分ではないといった旨が書かれています。
ストレッチは今回ご紹介したように、傷害予防効果がないといったものや、筋肉痛を軽減しない、それ以外にも今回は触れませんでしたが運動前のストレッチはパフォーマンスを低下させるといったエビデンスも存在し、時にストレッチに関して懐疑的に捉えられることもあります。
ただ補足として、だからといってストレッチが有害であったり、無駄であると単純に捉えることには注意が必要であることは少し強調しておきたいところになります。
こうした一般的に知られている内容と少し差のあるところを誇張し、あえてセンセーショナルに取り上げて「ストレッチは無駄である」、「今日からストレッチはやめなさい」といった内容で興味を惹こうとすることが度々見受けられますが、ストレッチ1つとってもそんな簡単に結論が出せるものではありません。
(実は私は過去にそうしたセミナーに出会ったことがあり、その時は素直に受け止めてしまったことがありましたが、今は色々経た結果考えを改めています。また機会があればその辺の経緯を書いてもいいかもしれませんね^^;笑)
ストレッチの種類による効果の違い。
というのも一言にストレッチといっても静的ストレッチや動的ストレッチ、PNF(固有受容器神経筋促通法)ストレッチなどその他にも細かく分類すれば様々な種類のストレッチが存在します。
またそれら各ストレッチについても取り上げていきたいところですが、そうしたストレッチの種類によってそれぞれ得られる効果も違うため、自ずと適用になる人、ならない人というのも当然でてきます。
わかりやすい例で言うと、極端に柔軟性が低下した人は傷害リスクが高まることがわかっているので、そうした人にはストレッチといった手法が役に立つこともあります。
事実、私自身リハビリ現場で身体機能を評価して必要(適用)と感じた人にはストレッチを治療手段として用いることは大いにあります。
そのため、もしストレッチに関して今回ご紹介した内容のような一見マイナスな根拠をもとにして、それを誇張して取り上げられているような記事や発言などには気をつけていただければと思います。
それがどういった種類のストレッチを指しているのか、またどういった状況、もしくはどういった人に対してのストレッチなのかといったことにも注意を向けてみると同じ内容のものに出会った際にも印象が変わってくるかもしれません。
私のこのブログでも言えることですが、科学的根拠(エビデンス)という言葉だけに引っ張られずに、一歩引いた冷静な目で是々非々で評価していくことも時には必要だと思います。
(トンデモ系のものは論外ですが、科学的根拠というものをそもそも間違って捉えている例もあれば、根拠はあってもそれを拡大解釈しすぎていたり、誇張している例も有り得るのでこの辺の見極めは本当に難しいところですね^^;)
ストレッチの主な目的としては柔軟性を獲得することにありますが、例えば同論文にも書かれている内容で、特定の条件下では柔軟性がパフォーマンスを向上させる可能性はありつつも、更に深堀りすると最適なパフォーマンスを発揮するための柔軟性の閾値があるのか、あるいはすでに柔軟性のあるアスリートにさらなる柔軟性が必要なのか、といったことなどについてはまだまだ今後も研究の余地があり、完全には明らかになっておりません。
今回ご紹介したストレッチ関連で、またこうした柔軟性についても少し深堀りできたらなと思います。
今日はひとまずストレッチの意外な一面についてのご紹介でした^^
今回参照した2つのシステマティックレビューは全文無料で読めるのでご興味ある方は下をご参照ください。
↓
(参照:Rob D Herbert et al..Effects of stretching before and after exercising on muscle soreness and risk of injury: systematic review. BMJ. 2002)
(参照:Stephen B Thacker et al. The impact of stretching on sports injury risk: a systematic review of the literature.Med Sci Sports Exerc. 2004 Mar)