目次
1.タンパク質の重要性。
筋トレ界隈でよく言われる提言。
耳にしたことがある人は多いと思います。
中には聞き飽きた言説かもしれません。
これを少し専門的に言い換えると、「筋肉をつけるにはタンパク質同化・合成が重要」ということです。
筋肉の萎縮や肥大は、タンパク質量に依存するといわれています。
タンパク質は合成と分解を繰り返している。
私たちの身体に存在するタンパク質は合成(同化作用)と分解(異化作用)を繰り返しています。
そのため、理論上、筋肉の肥大と萎縮の関係は以下のような関係が成り立ちます。
↓
- タンパク質の合成>分解の関係であれば、筋肥大する。
- タンパク質の分解>合成の関係であれば、筋委縮する。
もちろん、これ以外の要素も影響します。
例を挙げると、筋肉の血流やその他栄養素、ホルモンの関係なども影響してきます。
ただ、筋肉の構成要素の主であるタンパク質が非常に重要であることに違いはありません。
2.年を重ねると筋肉はつきにくくなる?
若いと時と比べて筋肉がつきにくくなる理由とは?
ところで、あなたは「年齢を重ねると若い時と比べて筋肉がつきにくくなる」ということを聞いたことはないでしょうか。
何歳になっても筋肉はつくことはつきますが、若い時と比べて筋肉がつきにくいのは事実です。
高齢者ではタンパク質の合成反応が弱い。
この現象の代表的な理由として、高齢者ではこのタンパク質の合成反応(同化反応)が若い人と比べて弱いことがわかっています。
こういったタンパク質の合成反応が低下することを【タンパク質同化抵抗性】と言います。
仮に同じ量の栄養を摂っていたとしても、高齢者のほうが筋肉の合成量が低くなるのです。
3.加齢による筋力・筋肉量低下に注意。
体格に関係ないサルコペニアも問題。
加齢による筋力低下・筋肉量の減少のことをサルコペニアといいますが、高齢化になっている近年、非常に関心の高い分野の1つになります。
余談ですが、筋肉量の減少であるサルコペニアですが、やせ細ってしまった人をイメージする人も多いかもしれません。
しかし、サルコペニアは何も痩せた人だけに限りません。
サルコペニアと肥満が合併した【サルコペニア肥満】という病態も存在します。
そのため「体格が良ければ(?)大丈夫!」というものではないことには留意が必要です。
4.加齢以外にタンパク質同化抵抗性を認める特徴とは?
こういった前提知識に加えて、プラスαでご紹介したい内容なのですが……実はこの”タンパク質同化抵抗性”……
タンパク質を合成しにくい人の特徴とは?
その傾向を認められた特徴というのが、肥満です。
同じ量のタンパク質を摂取しても、同じ負荷量の運動療法を実施したとしても、肥満の人はそうでない人と比べて、たんぱく質の同化作用に対して抵抗性を持っていることが報告されています。 その原因としては、肥満に認められる脂質蓄積、インスリン抵抗性、炎症がこの問題の根源にあると考えられています。 過去に痩せすぎであるリスクについてブログでとりあげたことがありますが、肥満もまた同様に身体に様々な負の影響をもたらします。 肥満の人の脂肪細胞には、脂肪細胞の数の増加とその脂肪細胞自体の肥大が認められています。 加えて、肥満の人の脂肪組織では、炎症性サイトカインの増加と抗炎症性サイトカインの減少といった調節障害が生じていることがわかっています。 肥満と聞くと、単純に余ったエネルギーが脂肪という形で身体に蓄えられているだけのように感じます。 しかし、身体の反応としては、体重の増減によって脂肪組織の細胞成分は大きく変化するのです。 そういった組織の変化が、脂肪組織の機能障害を引き起こしたり、メタボリックシンドロームの原因になっていると考えられています。 こうした肥満における脂肪組織の変化は、多くの免疫担当細胞の相互作用により慢性炎症が誘導されることがわかっています。 (参照:小川佳宏:肥満と自然炎症.日薬理誌) 一般的な肥満やサルコペニアに対する生活習慣の見直しとして、高いレベルで推奨されているのは以下のようなものがあります。 (参照:肥満症ガイドライン2022) ただ、今回ご紹介したように肥満の人は炎症や代謝障害の影響があり、食事や運動の効果が健常者で異なる状態であることが示唆されています。 そのため、今後の研究で、そういった「肥満に伴う代謝異常が食事と運動に対するタンパク質合成反応にどのように影響するのか?」について、更なる新しい発見が出てくることを期待したいところです。 肥満の人はタンパク質を合成力が弱い。
5.肥満は炎症性疾患?
肥満の問題点とは?
6.生活習慣の見直しについて。
推奨されている生活習慣の見直し項目。