鍛えてるのに風邪ひくなんて ──朝活より寝坊に忠実であれ?

私の身体が求めていたのは、
”朝活”じゃなくて”寝坊”だった。

①見た目がゴツくても、風邪には勝てない?

ごつい体をしてるのに、風邪をひきやすい人がいる。

逆に、ひょろっとしてるのに、めったに寝込まない人もいる。

なんで?

 

人は見た目によらない、惑わされるなっていう教訓なのか。

はたまた、ギャップ萌え?

……でも、健康と引き換えのギャップ萌えは、正直あまり萌えない。

萌えてる場合じゃない。寝込んでるし。

②私の切ない記録と記憶

私は意外と風邪にかからないし体調も崩さない方。

これは私の口癖にちかい。今も基本はそう思ってる。

 

でも、コロナとの相性は悪かった。

 

最近はあまり言われなくなったコロナ禍。

職業柄もあって消毒は勿論、感染予防は頑張ってたんだけどな。

仕事中も、一処置一消毒。

 

そんな私の手は……干し柿かってくらいにカサカサ。

ワクチンも打った。

人事は尽くした。

 

後は天命を待つのみ。

時は満ちた…….私はダウン

……そんな私に待ってたのは、過酷な天命だった。

コロナに2年連続の罹患。

そんな記録樹立はいらない。

 

しかも1回目は40℃超えの発熱と喉のあまりの痛さに悶絶。

40℃超えの発熱は自己新記録

2年連続で体調崩すのも成人以降は初めて。

喉の激痛はまさに悪夢

 

お陰様で、”記録”にも”記憶”にも残ってしまった。

 

今年こそは、罹患しない。

3度目の正直を途絶えさせてやる。

今日も私は絶賛感染予防中。

 

私の手の乾物状態は今日も続く。

③その風邪、鍛えすぎのせいかもしれません

今日はそんな嫌な天命。

風邪リスクを減らすために、今日は【運動と風邪の関係】について少し紹介しようかなって思う。

まさかの裏切り展開

心頭滅却すれば火もまた涼し。

身体も同じで、追い込んで身体を鍛えとけば風邪なんかへっちゃら。

……ってわけにもいかないみたい。

 

むしろ、鍛えてる”から”風邪がひきやすくなる一面もあったりする。

根性は大事だけど、根性論では乗り超えられない壁もある。

運動ガチ勢vs趣味運動勢

例えば、アスリート。

どんな競技のアスリートにしろ、身体は一般人より鍛えられてる。

そらそうだ。あの強靭なパフォーマンスはまさに努力の賜物だ。

 

その一方で、意外だけどアスリートは一般の人より風邪をひきやすい一面も確認されてる。

 

実際にそんな特徴が認められた研究がある。

トライアスロンに出るような運動ガチ勢。
VS
趣味程度の運動勢。

なんと、風邪をひきにくいのは──趣味勢。

 

ガチ勢の方が高確率で風邪にかかってるっていう報告もある。

 

なんで?

この疑問のアンサーの1つに運動と免疫の関係の話がでてくる。

④出禁パワーとファイト免疫について紹介

免疫って大事。

そんな免疫は大きく2つに分かれる。

予防的な免疫

1つは「そもそも(病原体を)入れさせないぞ!」っていう免疫。

言うなれば、金城鉄壁のイカついセキュリティマン。

体調を崩すような悪い奴は片っ端から出禁にしてくれる心強い免疫。

 

一応、“粘膜免疫”って名前がついてる。

この粘膜免疫の主体になるのが分泌型免疫グロブリンA(SIgA)。

え?覚えにくい?

そうだね。

だから私は勝手に「出禁パワー」と命名。

 

この出禁パワーが風邪にかかるかどうかのリスクに関係するって言われてるんだ。

戦う免疫

もう1つは病原体が入ってきた後の免疫。

これはもう病原体が入ってきた状態の話で、”.発熱”とかがそれにあたる。

 

発熱ってだるいしホントしんどいよね。

“Cool Head but Warm Heart”って言葉がある。
(アルフレッド・マーシャル)

冷静な頭脳と温かい心。

これはイギリスの経済学者が言った言葉。

そう、熱く温かいのは心だけで十分なんだ。

 

身体が熱いとしんどいだけ。

けど、熱いのはちゃんと身体が戦ってる証拠だったりする。

だるいって傍目から見ればまさに弱ってる状態。

でも、別に”弱い”からだるいわけじゃない。

 

身体が戦ってる証拠。

身体の中は闘志を燃やしまくってる。

戦ってたら強い人だろうが弱い人だろうが”だるい”のは当たり前。

“全身免疫”って呼ばれてる。

こっちは「闘魂システム」って命名。

風邪に対抗する免疫2トップ

まとめると

\風邪に対抗する免疫2トップ/

  • 【出禁パワー】:粘膜免疫(病原体を“入れない”)
  • 【闘魂システム】:全身免疫(病原体と“戦う”)

になる。

風邪をひかないためにはどっちが大事?

じゃあ、風邪をひかないようにするには?

そうなると、当然ながら出禁パワー(粘膜免疫)が大事になる。

この出禁パワー、実は運動の仕方次第で上がったり下がったりするって言われてる。

出禁パワーの性格

出禁パワーはドMな運動とは仲が悪い。

事実、強度の高い運動を1時間しただけでも出禁パワーが3割減になったって報告もある。

 

“鍛えたら無敵”だと思ってたのに。

1時間きつい運動をしたら「ちょっと今、疲れてるんで…」と音をあげはじめる。

金城鉄壁とは……?

 

激しい運動には出禁パワーも参ってしまう。

しかも完全に回復するまでは丸一日かかったそうな。

金城鉄壁のイカついセキュリティマンは、意外と繊細だ。

 

でも見た目のイカつさとは無縁の私は、全力に近いくらい頑張ったら1回ごとに3連休は欲しい。

ギャップ萌えも何もない。

それと比べると、セキュリティマンの方がキャラも立ってるし、頑張ってもくれてる。

⑤朝活ジムは悪くない。でも私の身体は”寝坊”を求めていた

でも1回の運動であっても、免疫(出禁パワー)が弱まるってのはなかなか怖い。

それだけ風邪にかかりやすくなるってことだからね。

 

ちなみに私がコロナに2年連続でかかった時は、何気に仕事前にジムに通ってたタイミングだった。

有言実行を志し、多少しんどくても出勤前の早朝に運動してた。

偉いぞ、私。

……でも慣れないことは”無理して”するもんじゃなかった。

私の得た教訓

その時の私にとって大事なのは、「朝活ジム」じゃなくて、

美味しい「朝ごはん」

寝坊気味のたっぷりな「睡眠」だった。

得た教訓は「人は、朝活より寝坊に忠実であれ」

 

まあ、実際にそれが関係してたかは神のみぞ知るだけど。

決めつけには注意

ただ、これだけで運動はダメだって決めつけないで欲しいんだ。

何事もほどほどにって言葉がある。

これは運動と免疫の話でも同じ。

 

低強度の運動では、むしろこの出禁パワーが強まったって報告があるんだ。

これは大人でも、高齢者でも同じような結果が見られたんだ。
(参照:Yuzuru Sakamoto, et al:Effect of exercise, aging and functional capacity on acute secretory immunoglobulin A response in elderly people over 75 years of age:J Women Aging May-Jun 2018;30(3):227-241)

ヨガも出禁パワーが高まったらしい。
(Nobuhiko Eda,et al:Yoga stretching for improving salivary immune function and mental stress in middle-aged and older adults:J Women Aging. May-Jun 2018;30(3):227-241.)

 

そういうのもあって、低〜中強度の運動は出禁パワーを高めるってことが示唆されてる。

私はこれを無視してしまった。

根性論は私には向かなかった。

あくまでも特徴のお話

ここでワンポイント。

 

今回、紹介した

【強度の高い運動は一時的に免疫力を落とす】

ってこと。

これは、あくまでも◯◯な特徴があるってだけの話なんだ。

“運動と免疫”に焦点を当てた場合の話。

 

だからそれだけをもって、

低強度の運動が善
高強度の運動が悪

って結論にはしないで欲しいんだ。

高強度の運動にも長所や、活躍どころっていうのはあるんだ。

運動に善悪はない?

良し悪しは求めるものによって変わってくる。

運動って一言にいっても【何を求めるか】によって、最適な運動のつらさ(強度)や種類はまったく変わってくる。

 

人と同じ。

人の長所と短所って常に表裏一体。

ある人からみたら超魅力的な人。

でも、違う人からみたら苦手に感じてしまう場合もある。

その逆も然り。

 

だから運動付き合いも人付き合いも、基本的に”自分が何を求めてるか”で善悪の基準は変わってくる。

そうなると人の数だけ善悪の基準があってもおかしくない。

人も運動も適材適所。

私は別のものを求めて少し強度高めの運動を続けてただけ。

 

あくまでも特徴、個性の話。

運動って知識も実践も同じだけ大事。

もしかしたら当時の私はその按配をミスったのかもしれない。

良いとこ取りは難しい。

私は身体を鍛えるよりも、自分の生活を整える方が難しかった。

⑥今日の小さな補足

アスリートが風邪にかかりやすい他の理由(一例)

  • 持久力アップなどの高地トレーニングの影響(低酸素環境による交感神経過活動)。
  • 運動誘発性の無月経。(女性ホルモンバランスの悪化)
  • 過度な減量(栄養、水分不足による免疫低下)
  • 海外遠征などの長距離移動(航空機内の低酸素・低湿度による影響)

参考文献

・内科臨床誌『メディチーナ』Vol.57 NO.7
・Yuzuru Sakamoto, et al. Effect of exercise, aging and functional capacity on acute secretory immunoglobulin A response in elderly people over 75 years of age. J Women Aging. 2018 May-Jun;30(3):227–241.
Nobuhiko Eda, et al. Yoga stretching for improving salivary immune function and mental stress in middle-aged and older adults. J Women Aging. 2018 May-Jun;30(3):227–241.

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