今日は少し金融関係、その中でも投資について少し触れたいと思います。
投資をしたことがない人にとっては”投資”と聞くと胡散臭く聞こえたり、何か危険といった感情を持っている方もいるかもしれません。
一番イメージしやすいのは株式投資だと思うので、今日は株式投資を例に書いていきます。
投資とはいわば、将来的なリターンを見込んで、リスクを承知の上で自己資金をつぎ込む行為と言えます。
有り得ない話ではありますが、例えばある会社の株が1年後には絶対に2倍に上るとわかっていたとしたら、あなたならどうするでしょうか。
私なら当然迷わずに投資します(笑)。
1年後に絶対に2倍になるとわかっていたら、よほど今現在の生活に困窮してない限りはゆとりのある財産の部分をほぼ全てを投資します。
勿論「1年後に絶対に2倍に上る」という前提条件があるなら、、、ですが。
仮に100万円でその株を買えば、後は何もせずともその株を1年後に売れば200万円になって返ってきます。
何の苦労もせずに100万円の利益を確実に得ることができるわけですから、むしろそれに乗らない理由がありません。
勿論そんなうまい話はありません。投資の世界に絶対はなく、実際は当然ながら儲かることもあれば損するリスクも存在します。
投資家はそういった将来的に損するリスクと将来的なリターンを天秤にかけ、将来的なリターンの方が旨味があると判断した際に投資します。
そうなると当然、、、
「いかに将来を予測するか」
が投資の要になってきます。
そして株式投資は将来どうなるかといった予測の勝負でもあると言えます。
しかし、そうなるとそもそも論として、、、
- 将来を予測することは可能なのか?
- 予測できたとして、どこまで正確に予測できるのか?
といった疑問が出てきます。
結論としては将来を正確に予測することは不可能です(泣)。
そして将来その株が上がるか下がるかの予測の精度については、、、
あえて答えるとなると、五分五分くらい、、、いわゆる偶然、運任せだと思っています。
私は別に専門家ではないですが、経済関係については”無駄な損を避ける”をコンセプトに書いているので、少なくとも投資を始める上で個人的に最低限知っておいた方が良い前提として、この将来予測は不可能であるということをお伝えしたいと思います。
申し訳ないくらいに根も葉もなく聞こえるかもしれませんが、それについてあくまで私なりの立場を書いていきます。
1.予測ができない理由①株式市場の性質
そもそも株式市場というものはプロであっても個別の株の価値の上下を予測することが困難です。
また、それが金融の世界の面白さでもあると思いますが、
「専門家と言われる人の意見があてにならないことを知ることから金融への理解が始まる」
とさえ言われているからです。
誤解のないように補足すると、金融のプロの人をけなしているわけでは決してありません。
金融の世界ではそもそも、構造的にどうやっても予測が不可能な部分があるということを強調する一面もあってそういう表現がされているのだと思います。
前回のブログで医療の科学的根拠(エビデンス)はメカニズムより、統計を優先すると書いたばかりですが、
金融の世界もメカニズムを理解したとしても完全な予測は不可能ですし、答えの出るものでもありません。
そんなちょっと面白い金融の、、、
中でも株式市場の性質とは具体的にどういったものなのでしょうか。
それは
「株式市場は新しい情報を速やかに織り込む能力に長けているため、誰も他人以上に市場の先行きを予測することはできない」
というものです。
これは効率的市場仮説と呼ばれています。
株式市場は私のように趣味でやっているような素人だけでなく、多数のプロ、機関投資家と呼ばれるプロ集団も参加している世界です。
そしてそんな金融のプロ達も最初に述べたように皆がリスクを承知の上、将来的なリターンを見込んで資本をつぎ込んでいます。
いわば身銭を切って、真剣にリターンを予測し投資しています。そしてその投資された結果(お金の動き)が株価に影響を及ぼします。
ということは、株価というものはそもそも既にそうしたプロの判断・行動も織り込んで作り上げられた価格ということになります。
つまり、株式市場で勝つ/儲けるということはイコールで、、、
そんなプロの投資判断・行動の結果でもあるものを更に出し抜く
ということを意味します。
そう考えると、それがいかに困難であるかということが想像できると思います。
ここでもう一つ紹介したい理論があります。
「株価の動きというものは全て、偶然の積み重ねによって作られる」
というランダム・ウォーク理論があります。
これは理論的には
- 市場が整備されている
- 経済指標や企業の情報開示などの情報が行き届いている
- 市場参加者(投資家)が合理的に振る舞う
といった条件などが揃うほどランダム・ウォーク、いわゆる株価の動きは全て偶然によるものに近くなると言われています。
そしてまさにこの3つは現在の株式市場そのままといっても良いくらいに当てはまります。
勿論、この効率的市場仮説、ランダム・ウォーク理論というものが完全に当てはまるかと言えばそうではないのですが、概ね的確に現在の市場を反映していると言われています。
この理論が誕生した際の反発は凄かったみたいですが、現在では当たり前のように浸透しています。
株式投資でまずは損をしないためには、個人的にはこの事実は知っておいた方が良いと思い、紹介しました。
詳細については、また今後も触れていくことになると思いますし、興味ある方はオススメ本などを参考にしていただければと思います。
2.予測ができない理由②神様でも将来予測は不可能。(現代物理学)
次に、株式市場の性質を抜きにしても将来の予測は不可能である別の理由も紹介します。
これはあくまでもおまけで、私が面白く感じただけなので興味がなければ読み飛ばし推奨です(笑)。
仮に、、、あくまでも仮にの話ですが、もしもこの世に
全知全能の神様がいたとします。
神様なので、
- どんな些細な情報も網羅しており、
- その情報が嘘か本当かも見破れて、
- 瞬時にそれらを正確に統合/計算もできる。
と仮定します。
そんな全知全能の、まさに神様のような存在がいたら、将来の予測は可能でしょうか。
そして人間はそんな全知全能にはなれないが故に将来予測ができないのでしょうか。
実はそういうわけではありません。
結論としては、、、
神様のように全知全能であっても将来予測は不可能である。
と考えられています。
こういった全知全能、超人間的知性のことをフランスの数学者の名前にちなんで「ラプラスの悪魔」と言います。
ニュートン物理学、いわゆる古典物理学ではこのラプラスの悪魔のように超人間的知性があれば、その後に何らかの新しい力が加わらない限りは、将来を正確に予測することができると考えられていました。
この論理には
「全ての出来事には原因と結果があり、その因果関係によって決定する」
という”決定論“と呼ばれる考えが前提にあります。
- 人の能力には限界があり、
- 世界中の情報をすべてカバーすることはできず、
- その情報を瞬時に統合する計算能力もない。
- それが故にラプラスの悪魔になれない。
- だから将来予測はできない。
といった感じの論理ですね。
この考えを聞くと納得してしまう気がしませんか。
私はというと、そもそも昔はそんなことを意識したことすらありませんでしたが、、、(笑)
しかし、この人の思考と相性の良い決定論的な考えは見直す必要があります。
なぜなら現代物理学、、、量子力学の誕生によってもはや全知全能のラプラスの悪魔であっても将来の予測はできない、将来予測は虚構であることが示されてしまいました。
原理的に全知全能の神様でも、将来予測は不可能である。
というのが事実です。
少し物理学のおさらいですが、、、
物質やエネルギーの基本単位である素粒子というものがあります。
光を構成する光子も素粒子の一つです。物質を構成するクォークというものもそれにあたるのですが、クォークが3つ合わさり、陽子や中性子となり、原子核を形作ります。
そしてその原子核と電子核が組み合わさって原子ができます。
そして全てのモノはこの原子から成り立っています。
いわば世界を構成しているとも言える粒子ですが、実はこの粒子の位置は
観測されている時と観測されていない時では存在が変化します。
具体的に言うと観測していない時は、1つの粒子が同時に複数の場所に存在し異なる運動をしています。
テニスボールに例えると、
- 私たちが見ていない時は本来1個であるはずのテニスボールが複数、あちこちに存在しています。
- しかし私たちがテニスボールを視野に入れた瞬間にテニスボールが1つとなり、その時に初めてテニスボールの位置が決まります。
- つまり、テニスボールを見ていない時はあらゆる位置に複数存在していますが、私たちが視野に入れた瞬間に、初めてそのテニスボールの運動や場所がランダムに決定します。
何を言っているのか意味がわからないかもしれませんが、これが量子力学の世界になります(泣)。
というのも、天才と言われるアメリカの物理学者で量子力学に関して以下のような有名な名言があります。
もしも量子力学を理解できたと思ったならば…それは量子力学を理解できていない証拠だ。
(リチャード・フィリップス・ファインマン)
それくらい量子力学とは人類にとって理解しがたいものであると言えます。
ただ、この量子力学がもたらす帰結は単純で、
- この世の物質やエネルギーを構成している素粒子の状態は、そもそも観測されるまで決定されていない。
- その性質が故に、観測していない時点で特定することは原理的に不可能。
- 観測した時に初めてランダムで運動や位置が決まる。
- ということは事前にわかることは“確率”しか存在せず、計算による正確な予測は不可能である。
という結論になります。
ちなみにかの有名なアインシュタインもこの考えを受け入れることができなかったそうです。
これらのことからわかることはまずは「将来を正確に予測する・できる」ということは幻想であることをまずは知る事を重要になってきます。
3.将来予測が不可能なら株式投資はギャンブルなの?
将来を予測することができないなら
投資はただの運任せのギャンブルになってしまう
と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
むしろ、この”将来を予測できない”ということが投資する上では非常にポイントになってきます。
株式市場の例にも紹介したランダム・ウォーク理論といい、
現代物理学の結論部分の
“事前にわかることは確率しか存在しない“
ということが投資する上での戦略構成にそのまま関わってきます。
まずは予測は不可能であることを知って、、、
- 株価はランダムに動いている。
- 事前にわかることは確率しか存在しない。
というポイントをしっかり押さえているかどうかで、投資がただのギャンブルと化すか否かが決まってくると私は思っています。
少し長々となってしまいましたが、”無駄な損を避ける”のがコンセプトで、そのためにはここはいくら強調しても足りないくらいなので、触りだけと言えど少し長めに書かせてもらいました。
この考えがそのまま実際の投資手法にも深く関係してくるので、それについて今後も書いていきたいと思います。
4.まとめ
- 投資とは将来的なリターンと損するリスクを天秤にかけ、決定する。
- 将来予測が必要になるが、そもそも論として将来予測は不可能。
- 株式市場はプロが集っており、そのプロ達が将来予測した投資行動がすでに反映されている。
- 株式投資で勝つ=プロを出し抜く行為である。
- 将来予測が不可能であることを知るのが、投資の第一歩。