呼吸の重要性に迫る!運動と痛み管理の新たな視点とは?

 

今日は運動の中でもとても重要になってくる要素の1つである呼吸について取り上げたいと思います。

呼吸の大事さやメリットはあげればきりがありませんが、今日はその中でもタイトルに書いたことについてご紹介したいと思います。

 

実は呼吸運動によって痛みが軽減することや同じ運動をしていても筋肉の活動が変化することが知られています。

 

呼吸と聞くと当然ながらイコールで心肺機能(呼吸器)をイメージする人が多いと思います。

 

しかし実は運動器の分野でも呼吸運動の重要性は近年注目されています。

 

というのも

首の痛みと肺機能についてのシステマティックレビューを参照してみても、慢性的に首の痛みのある人はそうでない人と比べて最大吸気・呼気圧に有意な差があったことが報告されています。

 

また事実、慢性的な首の痛みを抱えている人は肺の換気状態を表すPco2が低く、胸部拡大と頸部痛の間に有意な関係があったことがわかっています。

 

さらにそれだけでなく、筋力持久力首の可動域心理状態などがそういった呼吸器系パラメータと有意な相関が認められたと報告されています。

(参照:Amir Hossein Kahlaee et al. The Association Between Neck Pain and Pulmonary Function: A Systematic Review.Am J Phys Med Rehabil. 2017 Mar.)

 

つまり呼吸機能と首の痛みには強い関連があることが示唆されているのです。

 

またそれ以外にも私のようなリハビリ業務を行っているものにとっては非常に興味深い報告もあります。

 

首もしくは背中の痛みを抱えている29名の外来患者の症例で、運動や徒手療法での改善が停滞した全ての人がETCO₂が低かったという報告があります。
(ETCO₂とは呼気終末二酸化炭素分圧のことを指し、先ほどのPCO2とほぼ同じPaCO2との相関が高いことがわかっています。つまりは同じように肺の換気状態を表すものになります。)

 

そしてそうした人たちに呼吸トレーニングを実施したところ、全ての患者でETCO₂が改善され、93%の人で臨床的に有意な痛みもしくは機能の改善を認めたと報告されています。

(参照:Laurie McLaughlin et al.Breathing evaluation and retraining as an adjunct to manual therapy. Man Ther. 2011 Feb.)

 

このように運動療法や徒手療法で痛みや機能が改善されなかった人でも、呼吸トレーニングによって改善される例があるということは非常に重要なポイントですね。

そのため痛みの治療として運動を取り入れる際の1つの選択肢として、呼吸に特化した運動を取り入れてみるということも時には必要になってくることが考えられます。

 

また呼吸に特化した運動に限らずですが、通常の運動時にも呼吸は重要になってきます。

というのも冒頭でも書いたように、呼吸次第で同じ運動をしてもその効果が変わってくるといったことが起こり得るからです

 

体幹のトレーニングの1つでサイドブリッジ(サイドプランク)というものがあります。

どんなトレーニングかというと下のようなものになります。↓

 

やってみるとわかりますがなかなかに効くトレーニングです(笑)

若い人でもできない、もしくは相当にきついという人もいるトレーニングです。

 

このサイドブリッジを行っている時の腹直筋外腹斜筋内腹斜筋の活動を測定したところ、安静呼気時と最大呼気時とで筋活動が大きく違ったことが報告されています。
(※3つとも全てお腹の筋肉です。)

結果としては、

3つの筋肉ともに安静呼気時と比べて最大呼気時の時に有意に活動が増加していたのです。

(参照:Hiroshi Ishida et al.Maximum expiration activates the abdominal muscles during side bridge exercise.J Back Musculoskelet Rehabil. 2014.)

 

そのためこのように同じ運動であったとしても、呼吸の仕方1つで筋活動が大きく変わるといったことがわかっています。

 

このこと自体はある程度運動に携わっている人であれば経験的にも知っていることではあるのですが、呼吸を用いた運動というのはここからどんどんと深堀できる分野ではあるので、またそうした呼吸にまつわる運動についても取り上げていきたいと思います。

(過去の関連ブログ:1日2万回オーバーしている運動を見直すことで肩こり解消へ。)

 

ちなみにですが、どんな運動でも大抵息を止めるのは良くないので皆さんもひとまずトレーニング中は息を止めないように注意していただければと思います^^

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