【ロコモティブシンドローム】とは? 運動器の寿命を知るためのツール紹介

あなたは自分の運動器の状態を意識したことはあるでしょうか。

一説では運動器の健康寿命は50年と言われたりもします。

また以前にこのブログで75歳以上の後期高齢者になると、要介護となる原因疾患が関節疾患、骨折・転倒、衰弱などの運動器疾患によるものの割合が高くなることをご紹介しました。

(以前のブログは健康寿命を延ばすにはやはり運動が重要?をご参照ください)

今日はそんな中でも自分の運動器の状態を知るための代表的なツールであるロコチェックロコモ度テストというものについてご紹介します。

 

 

皆さんはロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

 

ロコモティブシンドロームについては日本整形外科学会のホームページを参照すると、

ロコモティブシンドローム(ロコモ:運動器症候群)は、加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態を表す言葉です。

公益社団法人 日本整形外科学会HPより引用。

と書かれています。

 

つまりは運動器が劣化した状態を示しており、将来的に寝たきりのリスクが高いことを意味します。

また同HPを参照すると、現在ロコモの人口は予備軍も含めて4700万人いるとされています。

日本の人口が大体1億2000万人程度であることを考えると、3分の1以上がロコモ(もしくはロコモ予備軍)に該当することになるので、中々凄い数のように感じますね^^;

 

そんな運動器の衰えを表すロコモですが、有名なチェック方法として以下のロコチェックというものがあります。

(https://locomo-joa.jpより引用)

この図に書かれている通り、以下の7つの項目の中に1つでも当てはまれば、あなたの運動器は衰えている可能性が示唆されます。

 

  1. 片足で靴下がはけない。
  2. 家の中でつまずいたり、滑ったりする。
  3. 階段を上るのに手すりが必要である。
  4. 家のやや重い仕事が困難である。(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である。(1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 15分くらい続けて歩くことができない。
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない。

 

どうでしょうか、、、、もし現時点で1つでも当てはまるものがあれば要注意です^^;

 

ただ同時に、もしあなたがまだまだ若くて、身体の衰えの自覚もない年齢であればこれらの項目に当てはまることはまずないと思います。

事実、このチェック方法は非常にわかりやすいのですが欠点として、通常これらが該当してくるのは50歳代に入ってからと言われています。

 

しかし、これらの項目に当てはまらなかったからといって大丈夫かと言えばそういうわけでもありません。

 

実は、これらの7項目に当てはまらず、たとえ若かったとしても運動器が衰えているということは十分にあり得ます。

 

そうした人たちもなるべく見逃さずにカバーする評価方法としてロコモ度テストというものがあります。

ロコモ度テストは、先ほどのロコチェックとは異なり、ある程度の年齢がいった人に限らず、若い人であってもその同年齢・同性の自立した人と同等の移動能力を有しているかどうかを判断するために用いることができると言われています。

実際に8681人(男性3607人、女性5074人)を対象に行った研究によると、同研究で得られた基準値は、

同じ年齢・性別の自立した人と比較した際に、その人が十分な移動能力を有しているかどうかを判断するために採用することができる。

と報告しています。

(参照:keiko yamada,et al.Reference values for the locomotive syndrome risk test quantifying mobility of 8681 adults aged 20-89 years: A cross-sectional nationwide study in Japan. 2020 Nov;25(6):1084-1092.)

そのため、ロコモ度テストは幅広い年齢層への適用が可能であるといったメリットがあります。

 

ではそのロコモ度テストというものが実際にどんなものかと言うと、、、

 

ロコモ度テストは

  1. 立ち上がりテスト(下肢の筋力をチェックする)
  2. 2ステップテスト(歩幅を測定する)
  3. ロコモ25(25の質問に答える)

といった3つで構成されています。

 

そしてそれらの各種テストを行った結果により

  • ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている)
  • ロコモ度2(移動能力低下が進行している)
  • ロコモ度3(社会参加に支障をきたしている状態)

といった3段階に分類されます。

 

またこのロコモ度テストは3つのテスト全てにおいて、それぞれの年齢別の結果の割合が紹介されており、同年齢と比べて自分がどの位置にいるかを知ることができます

これらの各種テストの実施方法等は、ぜひロコモONLINEをご覧いただければと思います。

こちらのホームページでは動画などもあり、非常にわかりやすく紹介されているので、私のブログでわざわざ書く必要はないかなと思いますので興味ある方は是非、上のリンクのロコモONLINEを参照頂ければと思います。^^

 

ただせっかくなので、この3つの項目の中の立ち上がりテストだけ今回、このブログ内で軽くご紹介させていただきます。

立ち上がりテストは名前の通り、ある台の高さから両足、もしくは片足で立ち上がることができるかを見るテストです。

この立ち上がりテストに関して、立ち上がりテストの得点は30歳代から有意に低下し始めることが報告されています。

(参照:keiko yamada,et al.Reference values for the locomotive syndrome risk test quantifying mobility of 8681 adults aged 20-89 years: A cross-sectional nationwide study in Japan. 2020 Nov;25(6):1084-1092.)

方法としては以下の通りとなります。

 

(https://locomo-joa.jpより引用。)

テストの難易度としては

  • 両脚40cm
  • 両脚30cm
  • 両脚20cm
  • 両脚10cm
  • 片脚40cm
  • 片脚30cm
  • 片脚20cm
  • 片脚10cm

といった順番で、下になるほど難しくなります。

 

そして立ち上がりテストに関しての結果とロコモ度の関係は以下のようになります。

  • どちらか一方の脚で40cmの台から立ち上がれないが、両脚で20cmの台から立ち上がれる。→ロコモ度1
  • 両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台から立ち上がれる。→ロコモ度2
  • 両脚で30cmの台から立ち上がれない。→ロコモ度3

 

加えて、年代別で見た際の立ち上がりテストの結果の割合については以下のようになっています。

 (https://locomo-joa.jpより引用。)

このように簡易に測定でき、かつ自分の年齢とテスト結果の割合も知ることができるのでご興味ある方は一度、自分の運動器の状態を以下でチェックしてみてはいかかでしょうか。

 

【ロコモ度テスト】

 

 

また余談ですが、以前に見かけの筋力低下をチェックする方法として、立ち上がりテストをご紹介しましたがそれに関しては、より高度なスポーツ選手などのパフォーマンスチェックとしても有用なので、そちらは過去のブログをご参照ください。

(過去ブログ:見かけの筋力低下とは?持ち前の筋力が発揮できない身体について。)

 

運動器の寿命は50年とも言われますが、可能な限り予防し、生きている間はなるべく動ける身体で居続けたいですね^^

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