ストレスが運動パフォーマンスに及ぼす影響について。メンタルと体の相互作用とは?

運動がストレス発散やメンタルヘルスに良いことは、TVや雑誌などでもよく紹介されています。

 

1.運動はメンタル面にも良い効果がある。

 

事実、通常のストレス発散だけでなく、鬱(うつ)に対しても、運動は一定の効果が見込めるというのが今では通説です。

 

標準的な抗うつ薬による単独療法では完全寛解の割合が低いため、うつ病患者における追加的な治療法として、運動を取り入れることの有効性なども示唆されています。

(参照:Madhukar H Trivedi et al:Exercise as an augmentation strategy for treatment of major depression. J Psychiatr Pract. 2006)

 

メンタル面の問題であったとしても、フィジカルな方法(運動)で少しでも効果があるなら、ぜひ上手く取り入れたいところですね。

 

今日はそうしたよく聞く、運動→メンタルといった方向性についてではなく、反対のメンタル→運動といった方向の関係についてご紹介したいと思います。

 

 

普段、仕事や学校、その課題など、学生であれ社会人であれ、誰でもある程度のストレスは抱えて生きていると思います。

 

そして、時には予期せぬ大きなストレスがかかってしまうようなイベントが起こることもあると思います。

 

そういった精神的なストレスが運動に与える影響について、1つご紹介していきます。

 

 

2.メンタルとウエイトトレーニングの関係について。

 

 

ご紹介するのは、精神的ストレスがウエイトトレーニングに与える影響についてです。

 

 

ウエイトトレーニングには挙上重量というものがあります。

そして、正しいフォームで、何とか1回だけ挙げることができる最大重量を1RMと言います。

 

 

精神的ストレスの高い群と低い群に分類し、1RMはウェイトトレーニングに慣れるための2週間の期間の後、測定し、最大筋力は12週間のトレーニング後、測定したといった研究があります。

 

対象者は135名の大学生であり、1RMを測定した種目はベンチプレスとスクワットでした。

 

ベンチプレスとは下のような運動です↓

 

スクワットは以下のような運動です↓

 

研究結果は、低ストレスの参加者は、高ストレスの参加者に比べて、ベンチプレスとスクワットで有意に大きな増加を示したといったものでした。

 

 

つまり、ウエイトトレーニングにおいて、精神的なストレスが少ない人の方が高いパフォーマンスを示したといったものでした。

(ただ、最大筋力に関しては有意差は認めなかったようです。)

 

こうした結果から、生活ストレスが高いと、ウェイトトレーニングに適応する能力が低くなる可能性があることが示唆されています。

 

更に同論文では、アスリートの能力を最大化するために、トレーニング環境の内外でアスリートのストレスをモニターすることは、コーチにとって有益であと考えられると書かれています。

(参照:John B Bartholomew et al:Strength gains after resistance training: the effect of stressful, negative life events. J Strength Cond Res. 2008 )

 

 

3.運動とメンタルは相互作用している。

 

それ以外の研究報告を読んでいても、私の実体験からも、運動をする際には、普段の生活の精神的ストレスが高いと、そのパフォーマンス発揮において負の影響を与える可能性が高いと考えられます。

 

今日ご紹介した論文にからめて言うと、ジムなどで日々、挙上重量をupさせようとウエイトトレーニングを頑張っている方は、自身のストレス状態にも気を配ってみるのも良いと思います。

 

 

冒頭で取り上げた鬱に対しての影響のように、運動がメンタル面に作用する傍ら、メンタルの状態も同様に、私たちの身体や運動に対して何かしらの作用を与えていることが伺えます。

 

こうしたことから、運動→メンタルという方向性で、運動を取り入れることも効果的ですが、時にはその反対方向である、メンタル→運動といった方向性を意識してみるのも1つの良い方法になるのではないかと思います。

 

もし普段の生活のストレスが大きければ、場合によっては、あまり無理をせず、まずはそのストレスを軽減することに注力するのも良し、反対に、運動を用いてそのストレスを発散してみるのも良しとなるケースがあると思います。

 

心技体という言葉がありますが、まさに心と身体は相互に関連していることを自覚し、気になるポイントに試行錯誤を重ね、柔軟にアプローチをしていきたいところですね。

 

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