腰痛の再発予防⁉キーマッスルは〇〇筋。

Q.腰痛の再発予防に良い運動って何かないの?
A.多裂筋と呼ばれる筋肉にターゲットした運動により腰痛の再発率が軽減すると考えられています。

 

腰痛の多くは自然に寛解するものも多いのですが、1度腰痛を経験するとその後の再発率が高いことも問題となっています。

以前にブログで初発の腰痛予防の難しさについては触れましたが、再発に関しては

腹横筋と共同して多裂筋をターゲットとした運動をすることで腰痛の再発率が下がった

といった報告がされています。

(参照:J A Hides et al:Long-term effects of specific stabilizing exercises for first-episode low back pain.Spine (Phila Pa 1976). .)

また別の論文を参照すると慢性的に腰痛を抱えている人とそうでない人を比較した研究では、腰痛のある人はそうでない人と比べて多裂筋のサイズが小さくなっていた(萎縮)ことが報告されています。

(腰痛患者の多裂筋のCSA(筋横断面積)が有意に低値を示した。)

また同論文で片側の腰痛がある人は第5腰椎レベルでの多裂筋が最も左右差があり、比較したすべての人は痛みのある側の多裂筋のサイズが小さかったと報告されています。

(参照:Julie Hides et al:Multifidus size and symmetry among chronic LBP and healthy asymptomatic subjects.Man Ther. 2008 Feb.)

こういった報告などから、腰痛の再発率の軽減には多裂筋に対する運動がある程度有効であると考えられています。

その多裂筋を使う運動の例を1つ挙げるとバードドッグと呼ばれる体操があります。

バードドッグとは四つ這い姿勢で片手とその反対側の片足を上げるといった体操ですが、もしかすると体幹トレーニングといった項目で目にしたことのある人も多いかもしれません。

丁度フリー素材に近いのがあったので(笑)載せますが下のようなポーズですね。

この運動はまさに多裂筋を使うのに良い運動の1つでもあります。

片手とその反対の片足を上げるのがきつい人は片足だけを真っ直ぐ上げるだけでも構いません。

ただ簡単なそうに見えるこの体操ですが、適用となる人に普段やって頂くとなかなか綺麗にできる人が少なかったりします。

というのも足や手を上げる際に骨盤部分が左右にぶれてしまったり、回旋が入ってしまったり、また背骨が丸まってしまったり、反対に反りすぎてしまったりとやっている本人は気付かなくても大きくぶれてしまうといったことの多い運動でもあります。

ちなみに言うと目的にもよりますが、多裂筋を働かせるのが目的であれば写真のようにここまで足を高く上げる必要はなく、どんなに高くても身体と一直線になる程度、身体がぶれるようであればそれより低いところで止めるようにし、あくまでも体幹がぶれないことを最優先していただくことが重要となります。

(多裂筋の運動目的であれば頭もここまで上げる必要はありません。)

そして注意としては、この運動を行う際に腰が辛くなったり痛くなる人はやり方が間違っている可能性が高いため注意が必要です。

痛みが出てしまう良くある原因としては、

  • 多裂筋は深層にある筋肉ですが、それがうまく働かずに表層の筋肉だけが働きすぎてしまっている。
  • 手足を上げる際に腰を必要以上に反ってしまっている。もしくは捻ってしまっている。
  • 腰の関節に圧縮ストレスが強くかかっている。もしくは普段から強くかからざるを得ない身体状態になってしまっている。
  • 多裂筋自体が痛みを感じやすい状態になっている。

といった可能性があるため、その場合は無理してやらない方が良いと思います。

また別の機会に触れていきたいと思いますが、腰にとっては反った状態で捻るという動きは非常に危険であるため、そういった動きは余計に腰を痛めてしまうリスクが高くなるので絶対に注意が必要です。

こういった筋肉を活性化させるための運動はフォームが命と言っても過言ではなく、またフォームの崩れ方も人によって様々であるため本来慣れないうちはフォームチェックをしてくれる専門の人がついてくれることが理想です。

しかしそういう環境にない方のためにも、微力ながらも私が文章で1つだけコツをお伝えできるとすれば、、、

手や足を上げる際に軽くお臍を引くようにお腹を締めながらやると良い場合が多いです。

ただお腹を締めると同時に息を止めてしまう方も多いのですが、あくまでも呼吸は乱さずにお腹を軽く(←重要)締めた状態で同様の運動をやっていただくと腰は捻れにくくなるのでオススメです。

先ほど腹横筋と共同して多裂筋の運動を・・・といった内容を書きましたが、お腹を少し締める(お臍を奥にするイメージ)といった動きは腹横筋を働かせることに繋がります。

ただどんなにフォームを気をつけていてもそれでもこの運動で痛みが出てしまうといった人はいます。

それは自分の気づかない部分でやはりやり方が間違っているか、もしくは間違っていなくてもその運動を行わない方が良い要因(また別の機会に書いていきます)を持っている可能性が高いと考えられます。

そのためそういう人は指導者に指導してもらうか、控えていただく、もしくは違うやり方の体操で多裂筋のトレーニングを行うといった風に方針を変えた方が賢明かもしれません。

運動のフォームなどは文章や口頭だけで伝えるのは本当に難しく感じます^^;

それでもうまくできれば多裂筋のトレーニングは良い運動のひとつであり、今日ご紹介した通り腰痛の再発予防につながることが報告されているので是非うまく取り入れていただければと思います。

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