【マッスルメモリー】の魔法。筋トレの不滅の効果とは?

身体を鍛えるため、または美容や老化防止のために運動として筋力トレーニングを日々取り入れている方も多いかもしれません。

しかしそんな中で、

  • 筋トレはやめると筋力がすぐ落ちてしまう。
  • つけた筋肉を維持するにはトレーニングを継続し続ける必要がある。
  • 結局落ちてしまうのなら意味がないのでは?

と考えた方もいるのではないでしょうか。

 

実は過去の私がそうでした^^;(笑)

 

確かにこれらは正しい面もあり事実、トレーニングでつけた筋肉は当然ながら運動をやめてしまうと落ちてしまいます。

 

しかし、だからといって一概に無駄になるとは言えません。

 

今日はそんな筋トレに対するモチベーションを下げるニヒリズム的な悪魔の囁きに対して少し補足していきたいと思います(笑)

 

メンタルヘルス的な要因によるメリットなどもありますが、今日はあくまで身体的な要素から見た際のシンプルなメリットをご紹介したいと思います。

 

結論を先に言うと、

過去に筋トレでつけた筋肉は、仮に筋トレをやめて落ちてしまったとしても無駄にはならない可能性が多分にあります。

 

 

その理由が

マッスルメモリー仮説

と呼ばれるものです。

 

筋力トレーニングをすると筋肉がつき、力も強くなるというのは皆さんも経験則などからご理解されていると思いますし現在では周知の事実です。

ただそれらの細かいメカニズムについては現在も完全には解明されているわけではなく、日々研究が進められています。

 

これらメカニズムに関しては話が長くなってしまうのでひとまず置いておき、今日は先ほど挙げたマッスルメモリー仮説についてのみ今日はご紹介します。

 

まず筋肉(骨格筋)は複数の“筋核”というものを持っています。

そして筋核の特徴として、1 つの筋核が支配できる細胞の体積(nuclear domain) には上限があることが知られています。

筋核1つあたりの支配できる体積に上限があるということは、言い換えると筋核が多ければそれだけ大きい体積を支配できることを意味します。

そして筋繊維が肥大する時にはその筋核が追加され、筋繊維の萎縮時には(アポトーシスにより)筋核が消失すると考えられていました。

そのため萎縮してしまった筋肉を元のサイズに回復するためには、減少した筋核の数が増えなければならないと考えられていました。

 

事実、筋繊維の大きさと筋核の含有量の間に直線的な関係が存在すると言われています。

 

しかし、、、

先ほど筋肉の萎縮により消失すると考えられていたと書いた筋核ですが

実は近年では、筋繊維の肥大をサポートするために追加された筋核は仮に筋肉が萎縮したとしても失われることはないといったことが報告されています。

(参照:Tim Snijders et al.The concept of skeletal muscle memory: Evidence from animal and human studies.Acta Physiol (Oxf). 2020 Jul)

 

これはどういうことかというと、

端的に結論を言うとこのような筋核の永続性は、再トレーニングの際に筋繊維をより効率的に成長させるメカニズムであることが示唆されています。

つまりは過去に筋トレなどで増えた筋核は、筋トレをやめて筋肉がトレーニング前の状態に戻った(萎縮)後も残っており、そのおかげでやめていた筋トレを再度始めた際には通常(前回)よりも早くトレーニング効果の恩恵(筋肥大/筋力UP)を受けることができることを意味します。

 

こうした筋肉が過去の状態を覚えているかのようなこの現象が “マッスルメモリー “と呼ばれる由縁です。

ただ補足したいのが、このマッスルメモリーの概念は主にネズミの実験モデルから得られたデータに基づいているため、そのメカニズムが人においてどこまで有効であるかについてはまだ疑問の余地が残っています。

しかしそれでも近年の人を対象にした研究の結果でもこれらを支持する結果の報告が多くあり、若い時期に筋トレをしていることで、ミトコンドリア機能障害と結びついた加齢に伴う筋力低下を回復させることができるという考えが支持されるようになってきています。

(参照:Hojun Lee et al. A cellular mechanism of muscle memory facilitates mitochondrial remodelling following resistance training.J Physiol. 2018 Sep.)

 

またここで重要なのは、高齢者では新しい筋核を生成する能力が低下していることがわかっています。

そのため、(たとえ途中でやめてしまっても良いので)筋核を生成する能力の高い若い内に筋トレをして、なるべく筋核を獲得しておくことがその後の老化による身体の衰えに備えた対処法の1つになりうると考えられます。

(参照:K Gundersen et al. Muscle memory: virtues of your youth?. J Physiol. 2018 Sep.)

まるで老後に定年退職し、現役時のような所得が得られなくなった時のために貯金をしておくといったような感じですね(笑)

 

そして面白いことに何もこうした予防医療的なものだけでなく、このマッスルメモリー仮説を現役アスリートのトレーニングにも利用しようといった試みもあるようです。

どういうことかを極簡単に述べると、筋トレを毎週継続的に行わずにある程度の期間を行った後に意図的に一度中断します。そしてその間はスキルトレーニングなどの比重を高めるというものです。

スポーツ競技の試合日程などは前もって決まっているので、それに合わしてまたあるタイミングで筋トレを再開することで、マッスルメモリーの効果により継続して筋トレをしていた人と同様の筋力・筋肉量レベルまで追いつくことが可能となります。

そうすることで、全体として捉えた際には少ないトレーニング回数で同様の効果が得られかつ、それで確保できた時間をスキルトレーニングなどの別のトレーニングに割りあてることでパフォーマンスアップに効率的に取り組むことができるというものです。

なかなか奥深いものですね^^

 

〜雑記〜

 

まだまだ仮説ではあるものですが、私の印象としては比較的ポジティブな報告が多いので予防医療的な意味でも知っておいて損はないかと思いご紹介させていただきました。

たとえ途中で挫折したとしても、こうして努力が完全に無駄にはならないということを示唆する報告があるのは救いがあって良いですね。私は好きです(笑)

たとえ継続できなかったとしても、今の内から筋トレに励んでみようと思わせてくれる仮説ですね^^

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