「姿勢を良くしましょう」
誰しも何回も耳にしたことがあると思います。
猫背が良くない、姿勢を伸ばしましょうといったことは今も昔も言われ続けていることです。
といった疑問もあるかもしれません。
もしくは当たり前すぎて疑問に感じたことすらない場合もあるかもしれません。
姿勢を良くするメリット、悪いことによるデメリットについては枚挙にいとまがありませんが、、、
1.良い姿勢とは?
理想的な姿勢(脊柱)はS字の弯曲がある。
普段何気なく使っている”姿勢”という言葉ですが、一般的に姿勢とは背骨(脊柱)の状態をあらわします。
以前にも書いたことがありますが、私たちの背骨は通常は下の絵のようにS字状になっています。
こうしたS字状のどこが歪んでいるかなどで姿勢のタイプを分類することもできるのですが、今日はそうした細かい話は抜きにして単純に姿勢が悪くなる(正常から逸脱する)ことで起こりうるリスクについてご紹介します。
2.姿勢の悪さと関連している負の影響とは?
“姿勢の悪さ”は”生活の質の低さ”を表している?
閉経後の骨粗鬆症患者157名を対象にし、生活の質(QOL)と姿勢・脊柱の可動性について調べた研究があります。
姿勢の変形の仕方によって5つに分類し(その内の1つは正常な姿勢)、それらを比較した結果
また正常な姿勢以外では生活の質(QOL)の得点と脊柱の可動域には有意な正の相関が認められたと報告されています。
(QOLスコアの得点が高いほどQOLが高いことを表す)
さらに興味深いことにQOLスコアは年齢、椎体骨折の数、腰椎の前弯角といったこととも相関があることを認めましたが、それらを差し置いて最もQOLスコアと関連が強かったのが脊柱の可動域であったことがわかっています。
(参照:N Miyakoshi et al. Impact of postural deformities and spinal mobility on quality of life in postmenopausal osteoporosis.Osteoporos Int. 2003 Dec.)
姿勢が悪い人ほど死亡リスクが高い?
またそれ以外にも白人の高齢女性を対象に平均追跡期間13.5年のコホート研究を参照すると
(参照:Deborah M Kado et al. Hyperkyphosis predicts mortality independent of vertebral osteoporosis in older women.Ann Intern Med. 2009.)
姿勢が悪いと肩こりや腰痛につながるといった認識は一般的かもしれませんが、意外と知られていない姿勢の悪さからくるリスクとしてはこのように生活の質の低下や死亡リスクが高くなるなど思いの外危険なリスクもあるので怖いものです^^;
背中の丸まりは背筋力の強化で改善できる。
ただ補足すると、背中の丸まりが強い人ほど死亡リスクが高いと聞くと確かに怖いのですが、背中の丸まりに関しては背筋の力を強くすることで改善されることもわかっています。
(参照:E Itoi et al. Effect of back-strengthening exercise on posture in healthy women 49 to 65 years of age.Mayo Clin Proc. 1994 Nov.)
背筋力を鍛えることで背中の丸まりが改善するというのは何も珍しいことでないように聞こえるかもしれませんが、実はこうした当たり前のようなことであったとしても本当に根拠があるのかどうかというのを確認することは重要になります。
いかにありえそうなことでも実は関係がなかった、効果がなかったということは実は結構起こりうることなのです。(その反対もしかりです。)
私はよくそれで反省させられることが多いです^^;(笑)
ちなみにですが、参照した論文は49~65歳のエストロゲン欠乏症の女性を対象にした研究報告であるので、そういったある程度の年齢になってからでも背筋を鍛えることで姿勢が改善されることが示唆されていると言えます。
たまにある程度の年齢になるともう姿勢は良くならない、筋力訓練をしても意味がないと考えておられる方に出会うこともありますが、こうした報告1つとってもそれが良くない誤解であることがわかります。
若いうちの予防は勿論ですが、それだけでなく私もある程度の年齢を迎えても、というよりは何歳になっても前向きに取り組み続けていきたいものです^^