アンチエイジングの新常識!運動が肌に与える影響とは?

いきなりですが質問です。

 

「あなたは、運動にアンチエイジング効果があると思いますか?」

 

「運動にはアンチエイジング効果がある!」と答える方が多いと思います。

 

それでは、ここで少し質問を変えて……

 

「あなたは運動に美肌効果があると思いますか?」

 

この問いに対しても「運動には美肌効果がある!」と答える方が多いかもしれません。

 

一見、似たような問いに感じるかもしれませんが、この2つの質問に答えるとなると、少し違った回答になります。

 

運動にアンチエイジング効果があることは、様々な研究によって明らかとなっています。

アンチエイジングとは言葉の通り、加齢に抗するといった意味になります。

 

しかし、運動で解明されているアンチエイジング効果とは、主に加齢による筋肉量の減少や脳の機能の低下や各種疾患のリスク軽減などになります。

 

年を重ねるにつれて身体には色んな変化がでてきます。

 

  • 姿勢が悪くなる。
  • 体力が落ちる。
  • 筋肉の量が減る。
  • 筋肉の質が低下する。
  • 関節が変形する。
  • 骨がもろくなる。
  • ケガをしやすくなる。
  • 様々な病気にかかる。

 

などなど、年をとったなと感じるきっかけは、人によって違うと思います。

 

そんな老化の中でも、特に女性だと”加齢による皮膚の変化“というのは敏感に感じるのではないでしょうか?

 

 

 

意外かもしれませんが、実は運動による肌(皮膚)に対する効果というのは謎でした。

 

継続的に運動をしている人は、そうでない人と比べて、体脂肪がつきにくかったり、筋肉の量・質共に良い場合がほとんどです。

そうした身体機能や体組成を含めて、いわゆる”若い状態”を運動によって作り出すことができます。

これらは様々な研究で裏付けがとれています。

 

しかし、その一方で肌(皮膚)に関してはそういった運動による若返りやアンチエイジングに繋がるようなことを詳細に調査した研究はほとんど存在しないのです。

 

そんなバカな……

 

となるのも無理はないかもしれません。

というのも、もしかしたらテレビや雑誌など各種メディアで運動には美肌効果があるといった記事を過去に多く見た人も多いかもしれません。

 

実際に私も目にしたことがあります。

 

そうした記事でよくあるのは、運動によって皮膚への血流が増加し、皮膚組織の代謝促進に繋がることで肌に良いといった感じで説明されている場合が多いと思います。

しかし、実はこの内容……

 

間違いとは言えないのですが、あくまでも”仮説“だったのです。

 

その仮説の裏付けがとれるような有力な研究報告(先行研究)は今までほとんどありませんでした。

 

つまりは、筋肉や脳機能のアンチエイジング効果と比べて、肌(皮膚)に関しては、運動でアンチエイジング効果を見込めるかどうかというのは言わばブラックボックスのようなものだったのです。

 

私だけかもしれませんが、よもや意外な話ですよね。

 

 

ということで、ここから本題です!

 

実は今年(2023年)に入り、運動が美肌に繋がる可能性があるといった研究報告がでてきました。

 

実はこれ、世界初みたいです。

 

しかも、その報告をしたのは日本です。

立命館大学が行った研究です。

 

関西出身の私としては、高校生の時にオープンキャンパスで訪れたことのあるの大学ですが、懐かしいです。

 

この立命館大学の研究成果がアメリカの科学雑誌、「Scientific Reports」に掲載され、話題となりました。

 

今日はそんな話題になった立命館大学によって報告された世界初の「運動による美肌効果」に関して、軽くご紹介したいと思います。

(参照:Shu Nishikori et al:Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices.Sci Rep. 2023)

 

1.運動による皮膚の若返りを調査。

 

研究内容についてですが、この研究は41~59歳の健康な女性61名を対象に行われました。

対象となった女性の活動性としては、普段座りがちでそこまで活動量が高くない女性が対象となっています。

 

それら61名の女性を有酸素運動を行う群と、レジスタンストレーニングを行う群にランダムにわけました。
(5名は途中で脱落したため最終的には56名)

 

各群にそれぞれ有酸素運動、もしくはレジスタンストレーニングを16週間行ってもらいました。

参加者には16週間の介入前後で、皮膚の性質、体組成、身体機能、血液の評価を行っています。

参加者には16週間のあいだは追加で運動を行ってもらわないようにしていました。

 

 

(Shu Nishikori et al:Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices.Sci Rep. 2023 より図引用)

 

 

2.調査結果。

 

詳細は割愛しますが、その結果はというと、有酸素運動を行った群もレジスタンストレーニングを行った群も両方ともに、皮膚の弾力性や真皮構造の改善を認めたといったものでした。

 

 

(Shu Nishikori et al:Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices.Sci Rep. 2023 より図引用)

 

 

機序としては、同論文内では、運動による血中成分の変化が真皮の細胞外マトリクス(ECM)の増加を誘発し、皮膚の若返り効果を示したとされています。

 

ここで少し補足として、皮膚の解剖・生理学に関してかるく触れておきたいと思います。

 

3.皮膚の構造。

 

この論文内ででてきた真皮のECM増加ですが、そもそも真皮とは何かについて、少し説明させていただきます。

 

真皮とは皮膚の表面部分である表皮と、その深層にある皮下組織の間にある皮膚のことをさします。

 

この真皮には、毛細血管や汗腺、神経などが豊富に存在します。

そして、表皮に栄養を供給したり、表皮の状態を情報をキャッチするような構造となっています。

 

ちなみに、年をとると少しぶつけただけでアザができるといったことを聞いたことはないでしょうか。

または、大人になるとそういった痕が残りやすいといった話などを聞いたことはないでしょうか。

 

実はこの理由として、加齢により血管壁がもろくなるといった理由もあるのですが、それ以外にも、年齢を重ねると表皮の部分が薄くなり、物理的にガード部分が弱くなるため傷つきやすいといった理由もあるのです。

 

そして、表皮だけでなくその深層にある真皮もまた、加齢とECMの劣化によって薄くなることがわかっています。

 

 

しかし、先ほどご紹介した通り、この加齢によって劣化するECMですが、運動を行うことによって増加することが今回の研究で確認されたのです。

 

4.レジスタンストレーニング特有の効果。

 

更に興味深いことに、実はレジスタンストレーニングの群にだけ確認された現象があったのです。

 

それが真皮の厚さの増加です。

 

 

真皮は先ほどご紹介した通り、表皮の奥にある組織です。

そんな真皮は表皮を時に支え、栄養を供給し、表皮の状態をチェックする役割を担っています。

そのため、真皮は肌のハリや弾力を保つことに大きく貢献しています。

 

そんな美肌のキーポイントとなる真皮ですが、表皮の奥にあるため、一般的にはケアが難しいところと言われています。

化粧水や美容液をつけても、表皮のバリア機能によって、真皮まではとどかないといったことがケアの難しさに由来しているようです。

 

 

しかし、今日ご紹介した論文によって、運動を通してこの真皮部分にアプローチできる可能性があることがわかったのです。

 

いやはや運動おそるべし(?)ですね。

これは辛くてもめげずに頑張るたいところですよね(笑)

5.運動内容。

 

実際に同論文内でも美肌効果が証明されたことで、運動を始めるきっかけや継続するモチベーションとして役立つことを期待するといった記載がされています。

 

前回のブログの運動療法でもあげましたが、運動は正しく行えば恩恵は計り知れず、本当に良いものです。

どんな理由であれ、運動を始める、もしくは継続するきっかけになるものが1つでも増えることはいいことですね^^

 

今回軽く触れた論文は有酸素運動のグループとレジスタンストレーニングのグループにわけて調査した研究でした。

そして今回の研究で有酸素運動もレジスタンストレーニングも皮膚の若返りに繋がる可能性があるといった結果が確認されました。

 

最後に参考までに、そんな同論文内で行われた運動内容についてもご紹介しておきたいと思います。

 

同論文内で行われた運動内容は簡単に表記すると以下のようなものでした。

  • 期間:16週間
  • 環境:トレーニングルームでトレーナーのもと実施。
  • 頻度:2回/週(合計32セッション)
  • 負荷量:目標負荷に達しているか定期的に評価を行った。
    有酸素運動:最大心拍数の65~70%
    レジスタンストレーニング:最大反復回数の75~80%

 

 

今後、こういった美容に関係する運動の研究も進んでくるといいですね。

こういった分野についても、また軽くご紹介していきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA