運動のメリット!健康維持とリスク回避のバランスを取る方法とは?

“運動が健康に良い”ということは良く耳にすると思います。

 

私も職業柄、運動が好きですが、それだけではなく、健康に気を使ってといった意味で運動するように心がけている部分もあります。

 

運動がもたらす良い影響は枚挙にいとまがありません。

 

1.運動のメリットとは?

 

厚生労働省のHPを参考にしても、運動には以下のようなメリットが取り上げられています。

 

  • 虚血性心疾患のリスク↓
  • 高血圧リスク↓
  • 糖尿病のリスク↓
  • 肥満リスク↓
  • 骨粗鬆症リスク↓
  • 死亡リスク↓
  • 寝たきりリスク↓
  • メンタルヘルスや生活の質の改善効果

 

などなど、本当に多種多様なメリットがあります。

(参照:厚生労働省)

 

これらのことから運動習慣の増加運動意識の向上が重要であるとされています。

 

しかし、注意したいのが運動にはデメリットも存在します。

 

2.運動のデメリットとは?

 

運動のデメリットの代表格というと、ケガのリスクです。

当然といえばそうかもしれませんが、運動量や身体活動量が増えるとケガのリスクは増えます

 

 

つまり

運動を始めることで、どうしても筋骨格系の問題が生じる可能性がでてきます。

 

事実、平均以上の活動レベルを有する成人を対象に行った筋骨格系損傷の種類と頻度について調べた研究を参照すると、平均以上の活動レベルがある人の内の4分の1が筋骨格系の傷害を認めたといった報告もあります。

(参照:Jennifer M Hootman et al:Epidemiology of musculoskeletal injuries among sedentary and physically active adults.Med Sci Sports Exerc. 2002)

 

 

基本的に、運動・身体活動量を上げることは健康関連全般として推奨されていますが、やみくもに運動量を上げると筋骨格系の問題が生じるリスクが上がってしまいます、、、、。

 

運動に限らずですが、リスクとリターンは常に表裏一体です。

 

リスクをゼロにすることはできませんが、可能な限りリスクは減らしたうえで、リターンを得るようにしたいところです。

 

人によってはケガを境に、運動をすることが怖くなり、やめてしまったといった人もいるかもしれません。

 

事実、ケガを境にそれまで行っていた運動プログラムを完全にやめてしまったといった人もそれなりに多く存在することが報告されています。

 

筋骨格系を障害したといった経験から生まれる恐怖心とはそれなりに強いことが予想されます。

 

決して油断はできませんが、正直なところ、私は職業柄もあって、そういった筋骨格系を痛めるといった恐怖心は人と比べて非常に少ないと思います。

 

私がずっと身体を動かすのを好きでい続けることができているのは、そうした筋骨格系の問題に対する恐怖心の少なさも影響しているのかもしれないと最近感じます。

 

どんな人でも年齢を重ねる程、身体が痛くなるといった場面は頻繁にでてきます。

 

ある年齢を過ぎてから、同級生などが集まると、みんなで痛み自慢(?)をするようになったと話される方もいました^^;

 

若い内は想像もしませんが、ある程度の年齢になると何かしらの痛みや不調を抱えている人が非常に多くなります。

 

私なんかは情けない話、昔は色々と筋骨格系に対してハードワークなことをしていた影響も相まって、10代のころに腰を痛めたり、20代前半に一時、肩が痛くて腕を上げれるのが大変だったといった経験も過去にしています^^;

(20代前半でいっちょ前にいわゆる五十肩になった時がありました^^;)

 

理屈ばかりこねて、自分の身体機能が低いのは良くないと思い、この仕事についてからは、かなり自分の身体にも気を遣うようになりました。

 

おかげさまで、筋骨格系に関しては年齢を重ねた今の方がすこぶる調子が良いです^^

 

先ほど、私自身が身体を痛めたことがあると書きましたが、それがなくなって今も維持できているのは”運動”を取り入れてからです。

 

運動を取り入れることは、確かに筋骨格系の問題が生じるリスクはありますが、適切に用いれば、むしろリスクを低くしてくれます。

 

今日はそんな、健康に気を使って運動を始めたいけど、ケガのリスクが怖いといった人のために伝えたい内容になります。

 

少し大雑把な基準ですが、参考にしていただければと思います。

 

3.健康に良い運動とは?

 

”健康に良い運動”というのは、一言では言えませんが、例えば生活習慣病の予防について運動量の違いによる比較として、厚生労働省のHPに以下のような記載があります。

(引用:厚生労働省:身体活動・運動)

 

相対危険度とはリスク比と呼ばれることもあり、疫学で用いられる指標の1つです。

 

このリスク比は曝露群のリスクを非曝露群のリスクで割って求められます。

 

曝露(ばくろ)とはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、”ある要因を持っていること“や”その要因を取り込む“といったことを表す言葉です。

 

つまり、リスク比とは、ある因子に曝露した(取り込んだ)場合、それに曝露しなかった(取り込まなかった)場合に比べて何倍疾病に罹りやすくなるかといった指標となります。

 

例えば、先ほどの上の図の下にある糖尿病のところを見ると、週1回未満対それ以上の運動を比較した相対危険度は1.43と書かれていますが、これは週1回未満の運動の人はそれ以上の運動をしている人と比べて糖尿病にかかるリスクが1.43倍高いといったことを示しています

 

言い換えると、週1回以上の運動を取り入れることで、糖尿病にかかるリスクを同様の程度減らせる可能性があると捉えることもできます。

 

そうやって考えてみると、上の図だけを見ても、ある程度の量の運動を取り入れることで総死亡率、冠動脈疾患、高血圧症、糖尿病にかかるリスクを減らせることが予想されます。

 

運動のメリットは何と言っても、大きな副作用なく、幅広い恩恵を受けることができることにあります。

 

あえて運動が及ぼす副作用(?)となるようなデメリットを1つあげるとなると、それは先ほど紹介したように筋骨格系の傷害リスクが高まるといったことがあります。

 

では、この筋骨格系の傷害といった運動のデメリット(副作用)部分のリスクを減らすにはどうしたら良いのでしょうか。

 

4.ケガのリスクを減らすには?

 

これに関しては、少し興味深い報告があったのでそれをご紹介します。

 

詳細は割愛しますが、テキサス州で実施されたコホート研究の結果によると、ランニング・ジョギング・ウォーキングを行う人で足(下肢)のケガのリスクの予測因子となるものが報告されています。

 

1つは男女共に、過去に下肢の傷害の既往がある人は、ランニング・ジョギング・ウオーキングを取り入れることによるケガのリスクが高いといった傾向が認められました。

 

元々、股関節や膝、足を痛めたことがある人が活動量を増やすとそういったケガのリスクが増えることはイメージしやすいと思います。

 

そのため、そういった人は運動(ランニング・ジョギング・ウオーキング)を取り入れる前に一度、もしくは定期的に専門家にみてもらうことが良いと考えられます。

 

そしてもう1つは、女性に認められた傾向でしたが、ランニング・ジョギング・ウォーキングの距離が1週間で20マイルを超えるとケガのリスクが高まる傾向を認めたことが報告されています。

(参照:Jennifer M Hootman et al:Predictors of lower extremity injury among recreationally active adults.Clin J Sport Med. 2002)

 

 

20マイルとは約32kmといった距離になります。

 

 

つまり、歩いたり、走ったりする運動を取り入れるにあたって、1週間の合計距離が32kmを超えるとケガのリスクが高くなるということです。

 

これらのことから、同論文では、健康な成人にとって、週に10~20マイル(16km~32km)を早足で歩くことが、筋骨格系の下肢損傷のリスクを最小限に抑えながら、国の推奨する運動量を満たすのに十分な中強度の身体活動になるとし、臨床医は、この情報をもとに、活動的な患者に適切な傷害予防カウンセリングを行うことができるといった結論を報告しています。

 

下肢を痛めた既往のある人は、理想を言えば専門家に診てもらいながらのウオーキングが良いと考えられますが、もしそういった既往歴がない人で、身体を痛める心配のある人は、1つの指標として1週間に16~32km程度の距離を歩いたりするといった運動から始めてみることが良いと思います。

 

現在、運動不足で少し健康のために運動をしたいといった人がいれば、1つの指標として参考にしていただければと思います。

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