坐骨神経痛とは?基本知識をわかりやすく解説。

あなたは“坐骨(ざこつ)神経痛”という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

 

脚のしびれや殿部(お尻)の痛みがあり、過去にどこかで言われたことがあるといった人もいるかもしれません。

 

普段、患者さんと接していても、坐骨神経痛という言葉を知っている人にはチラホラと出会います。

今日はそんな坐骨神経痛の基本知識についてご紹介します。

 

1.そもそも”坐骨神経”って何?

 

まず、坐骨神経とは腰から足にかけて伸びている神経です。

人体の中でも非常に太い神経として知られています。

 

イラストにあるように、お尻あたりからでてきている神経であり、途中で総腓骨神経と脛骨神経という名前に分かれて足の先まで伸びていきます。

名称は変わりますが、総腓骨神経と脛骨神経は坐骨神経の続きとなります。

 

そして坐骨神経痛とは、この坐骨神経が何かしらの影響でストレスがかかり、神経痛を生じるといったものです。

 

坐骨神経が炎症を起こしたり、ストレスがかかり続けると、お尻から足にかけてのしびれが出現します。

 

もしかしたら、「私も経験ある!?」という人もいるかもしれません。

 

 

2.坐骨神経痛のよくある誤解。

 

そしてもう一つ、基礎知識として押さえておきたいのが、坐骨神経痛に関する”よくある誤解”についてです。

 

その誤解とは…

「坐骨神経痛とは疾患名ではない」ということです。

 

これはよくある誤解なのですが、坐骨神経痛を疾患名と捉えられてしまうことがあります。

 

“坐骨神経痛”という言葉はあくまで、”症状”のことであって、何かしらの”疾患”の名前ではありません。

 

この誤解に関しては、重要となるので少し説明させてください^^;

 

 

そもそも、”疾患名”と”症状名”って何が違うの?

 

と思うかもしれません。

 

 

まず疾患名とは、整形外科でいうと、レントゲンや何かしらの検査を受けて、器質的な問題がはっきりとしている状態(病態)を指すことが主です。

 

例えば、

レントゲンをとってみたら、膝の関節が変形していた。

レントゲンをとったら腰の変形があり、更にMRIもとってみたら、そこの神経の通り道が狭くなって神経が圧迫されているのがわかった……などなどです。

 

膝に変形があれば変形性膝関節症、後者の腰の状態であれば脊柱管狭窄症などといった疾患名がついたりします。

MRIの結果、神経を圧迫しているヘルニアが見つかった場合は、腰椎椎間板ヘルニアなどといった疾患となる場合もあります。

 

それに対して、症状名とはそうした器質的な問題である疾患などが原因で、実際に生じている何かしらの状態をさす名称です。

例えば、脊柱管狭窄症だと脚のしびれが生じることがありますが、こうした”脚のしびれ“というのはまさに”症状“となります。

 

ここで注意したいことがあります。

 

脚のしびれというのは何も、脊柱管狭窄症のような神経の圧迫だけで起こるわけではありません。

 

例えば、下肢の動脈が詰まって、血流が悪くなった状態でも脚のしびれが生じる場合があります。

更にいうと仮に脊柱管狭窄症のように神経の通り道が狭くなっていたとしても、脚のしびれがない人もいます。

 

このように、疾患名と症状は必ずしも、一致しないことも多々あります。

また反対に、症状だけでは、疾患名を完全に特定することはできません。

 

そして、今日取り上げている「坐骨神経痛」というのは”疾患名”ではなく、”症状名”です。

 

坐骨神経痛は、冒頭でも紹介しましたが、お尻から太ももの裏にかけてのしびれ、時には脛の横や裏面までかかる脚のしびれといった症状になります。

 

成人の38%が経験したことがあり、18−19%が現在症状を有しているとの報告もあるような症状です。

(参照:今日の臨床サポート)

 

 

3.坐骨神経痛ってどんな原因があるの?

 

それでは、この脚のしびれである坐骨神経痛は、どういったことが原因で生じるのでしょうか。

 

おさらいの意味も込めて、あえて先ほどの説明を意識した書き方をすると、

「坐骨神経痛という症状は、どういった疾患で生じるのでしょうか」

 

この原因となる疾患は非常に多いです^^;

 

日本整形外科学会の資料を参照すると、以下のような疾患が坐骨神経痛を生じさせます。

  • 腰椎椎間板ヘルニア。
  • 腰椎すべり症。
  • 腰部脊柱管狭窄症。
  • 腫瘍。
  • 帯状疱疹。
  • 変形性股関節症の関連痛。

 

これらがお尻~脚にかけてのしびれである坐骨神経痛、もしくは坐骨神経痛様の症状を呈する場合があります。

 

注意したいのが、腰椎や腰の神経である馬尾、時には骨盤内にできる”腫瘍“でもこうした症状を呈する場合があります。

また帯状疱疹とは、ウイルスで起こる病気ですが、これに関しては整形外科ではなく皮膚科の疾患になります。

坐骨神経痛様の痛みに合わせて発疹がある場合は注意が必要です。

そういったケースもあるので、もしお尻~脚にかけてのしびれが続くようであれば、一度、医療機関に受診するのが賢明です。

 

腫瘍や帯状疱疹といったケースはともかく、それ以外の整形外科疾患をみて、いかがでしょうか。

坐骨神経痛を呈するこれら疾患名をみて、次のような疑問を感じたりはしないでしょうか?

 

整形外科疾患からくる坐骨神経痛も、骨の変形などが原因なわけだから、坐骨神経痛は良くならないのでは?

 

といった疑問です。

 

またこれに加えて、以下のような問題もあります。

日本整形外科学会を参照すると、これら以外にも、”神経に障害がない場合でも坐骨神経に沿った痛みがあって、原因がわかっていない場合にも「坐骨神経痛」という言葉を使う場合がある”と紹介されています。

 

つまり、原因不明とされる坐骨神経痛も存在するということです。

 

 

いやいや……不安を煽っているわけではありません^^;

ちゃんと続きがあります。

 

坐骨神経痛に対する治療法の選択肢としては、主に薬物療法手術療法保存療法になります。

 

私の専門分野である運動器リハビリは、この中での保存療法に位置づけられます。

そのため位置づけとしては、保存療法のプロということになります。

いやはや責任重大であります^^;

 

確かに坐骨神経痛は腰の骨の変形や、股関節の変形からくる関連痛といった器質的な問題も強く関わる症状です。

 

ただ、それ以外にも原因不明とされるような坐骨神経痛でも、リハビリの職の目からみれば原因を見つけることができる……というと大げさですが、対処できる坐骨神経痛も中には存在します。

 

原因不明とされるタイプの中には、単純に「レントゲンやMRIなどの画像所見ではわからない。」という場合があります。

 

本当に原因が不明な場合も存在します。

しかし、中にはあくまで画像上ではわからないけど、それ以外の方法ではわかるといったタイプの坐骨神経痛も存在します。

 

今回は坐骨神経痛の基礎についてのご紹介でしたが、次回はもう一歩踏み込んだ内容についてご紹介したいと思います。

坐骨神経痛は保存療法で改善する方も多くいます。

「少し歩くとしびれが出てしまう」、「痛くて階段が上がれない」といった人でも、症状が改善し、何ともなくなったという方は沢山みたり、聞いてきました。

 

今日ご紹介した、坐骨神経痛の基礎を知った上で、次回は「坐骨神経痛の保存療法(リハビリ)ってどんなことをやるの?」といった内容を書いていきたいと思います。

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