【痩せすぎと健康のバランス】痩せていることの隠れたデメリットについて解説。

以前にダイエットについて運動と少し絡めて書きましたが

今日は反対に“痩せていることのデメリット”について書いていきます。

現在もダイエット分野は人気で

痩せていること=良いこと

という意識が強くあるように感じます。

しかしどんなことにも言えますが、極端にブレた考えや一辺倒な行動というものには基本的に眉唾で見る方が良いのかもしれません。

確かに肥満の人(特に内臓脂肪蓄積型の人)が減量するのは生活習慣病のリスクを減らすことに繋がるため良いことなのですが、

痩せていることにも当然リスクが存在します。

昨今は痩せることへの礼賛が過ぎる面も否定できないので、バランスをとるために今日は痩せていることのリスクや注意点について書いていきたいと思います。

1.痩せ礼賛からくる問題とその食意識の傾向とは?

実はこの痩せ傾向については厚労省も注意喚起をしています。

特に若い女性(20歳代)の約2割はBMI18.5未満であり、その多さが問題視されています。

若い女性の痩せ体質がなぜ問題かというと、、、

高齢期における運動器の障害(ロコモティブシンドローム)や虚弱(フレイル)のリスクを高めることがわかっており、高齢期のロコモやフレイルは要介護の原因にもなるためその予防が重要であると言われています。

また痩せている本人だけの問題にとどまらず

後に紹介しますが、特に妊婦の低栄養問題は生まれてくる「子ども」の生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、

その子供の成人以降のリスクもあげてしまうことがあるため危惧されています。

私のブログは運動について中心に取り上げることが多いですが、運動習慣と比べて“食習慣”というものはまた別の違った特徴があるように感じます。

というのも厚労省の健康・栄養調査(令和元年)を参考にすると、まず運動習慣と食習慣の改善の意思を調査したところ、男女共に

「関心はあるが改善するつもりはない」

といった回答が一番多いという結果でした。

つまり関心はあるものの、実際に行動まで起こす気概まではない人が多いようです。

一種の現状維持バイアスなのかわかりませんが、、、

つい大丈夫かな?と思ってしまいますが気持ちがわからないでもないです(笑)

また食習慣をBMI別で見たものも、男女ともにBMIが普通及び肥満の人は同様に「関心はあるが改善するつもりはない」といった人の割合が一番多いことがわかります。

しかし

“痩せ”に分類される人に関しては少し違って

痩せている人は

「食習慣に問題はないため改善する必要はない」

と考えている人の割合が一番多くなっています。

こうして考えてみると痩せていることにもリスクは当然あるのですが、もしかすると肥満などと比べて

痩せていることに関してはそもそも問題がないと捉えている人が多いのかもしれません。

また同調査を見ていくと運動習慣と食習慣とで妨げになっている理由に少し差があることがわかります。

まず運動習慣に関してはそもそも関心がない人や既に改善に取り組んでいる人を除いては男女共通して

仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと(総数では男性36.9%、女性39.0%)

が運動習慣の定着を妨げている1番の原因であることがわかります。

しかし食習慣に関してはほんの少し状況が異なり、、、

同様に「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」を理由に挙げている人は多いのですが

それよりも更に回答率の多い項目があります。

それが

特にない(男性36.0%、女性34.6%)

でした。

ちなみに運動習慣の方で「特にない」といった総数での回答率は男性21.8%、女性18.9%でした。

あくまで運動習慣と比べてですがこうしてみると食習慣に関しては

運動習慣の改善よりも”まだ”栄養習慣の改善の方が物理的な障壁は低く、改善しやすいのかもしれません。

しかし反対に

痩せていることに関してはそもそも食生活に問題がないと考えている人が多かったり、痩せていることのリスクについては浸透していないといった意識や価値観などによる問題が大きいのかもしれまんせん。

そもそもリスクや弊害があることを全く知らなければ改善しようとする発想すらでてこないためそれは問題だと思います。

そのため今回は少しこの“痩せのリスク”について少しだけ触れていきたいと思います。

2.痩せていることのデメリットって何?(本人編)

肥満であることや痩せているといった体格を示す基準値としてよく

BMI(Body Mass index)

があります。

聞いたことある人も多いと思います。

BMIの計算方法は世界共通で

BMI=体重(kg) ÷ 身長(m)の2乗

で求めることができます。

しかし肥満の判定基準はやや異なります。

ちなみに

日本肥満学会では

  • BMI18.5未満:低体重(痩せ)
  • BMI18.5~25未満:普通体重
  • BMI25以上:肥満

としています。

(WHO基準ではBMI30以上が肥満になります。)

また厚労省のHPでは

  • BMI22の体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態である。
  • BMIが25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になる。
  • BMIが30を超えると高度な肥満としてより積極的な減量治療を要する。

といった記載がされています。

(参照:e-ヘルスネット  )

これは広く知られていることであり肥満に対しての警戒感や肥満の弊害による知識をお持ちの方も多いと思います。

では反対に痩せていることのデメリットとは何でしょうか。

まず1つ挙げるなら

痩せている人は肥満の人以上に死亡リスクが高い

ことが挙げられます。

(参照:国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループURL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html)

これは7つのコホート研究で35万人以上のデータを解析したものであり下記のような結果が報告されています。

(同URLより引用)

この結果を見てわかる通り、真ん中で死亡率が低く両サイドで死亡率が上昇しています。

また日本肥満学会の基準で肥満に分類されるBMI25以上よりも痩せに分類されるBMI低値の人の方が死亡率が高いといった

逆J字カーブ

を描いているのがわかります。

ちなみにがん死亡、心疾患死亡、脳血管死亡、その他といった分類別では下のようになります。

(同URLより引用)

性別や疾患別でみるとものによってはBMIの高低による死亡率の上昇が拮抗しているものもありますが全体的に見ると

痩せていることは死亡率が高まり、場合によっては肥満である以上にそのリスクが高くなることがわかります。

3.痩せていることのデメリットって何?(本人以外編)

もう一つ痩せていることのリスクを紹介すると前述したように痩せている本人のリスクだけでなく

妊婦の低栄養により発生する産まれてくる子どもへのリスクが考えられます。

生まれた時の体重が2500g未満の新生児を

低出生体重児

と言いますが

本来衛生状態と栄養状態が良い国、いわゆる豊かな先進国では少ないといった特徴があります。

そのため発展途上国への支援において健康がどれほど改善したかという効果の指標にされることもあるようです。

しかし実はそうした常識に反して

日本では人口動態統計を確認すると昭和50年頃(1970~80年代)をピークに新生児出生時の平均体重は減少し、低出生児の数が年々増加してきているのです。

ではそもそも論ですが

低出生児の何が問題なのでしょうか。

例えば巷では時々

小さく産んで大きく育てる

といった言葉が使われることがあります。

皆さんも一度は聞いたことがあるかも知れません。

しかしこの格言(?)のようなもの、、、

実は問題ありなのです。

小さく産む、、、つまり低出生児は高リスクなのです。

低出生児は

  • 出産後の罹患率・死亡率が高い。
  • 成人後の高血圧、脳卒中、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病になるリスクが高い。

ことがわかっています。

そのため小さく産むことはとても良いとは言えません。

ではなぜ日本は1970年代頃をピークにそのようなリスクを抱えた低出生児が増えていきているのでしょうか。

実はこの要因の1つとして考えられているのが

痩せていること(母体の低栄養)

なのです。

ただ誤解のないように補足すると

低出生児は母体側の問題だけでなく、多胎や先天性異常などの胎児側の要因もあるため一概に産む女性側にだけ問題があるわけでは決してありません。

しかし胎児側の先天性の問題は未然に防ぐことが難しいのに比べて、母体側はある程度それが可能です。

そのためそうしたリスクコントロールのできる部分があることは知っておいて損はないと思います。

developmental origins of health and diseaseの略で

DOHaD仮説

というものがあるのですが

これは

「成人以降の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後直後の健康・栄養状態の影響を受ける」

といった概念であり、要するに成人後の生活習慣病を含めた疾病の素因が生まれ持って形成されてしまうといったものです。

そして事実、低出生児はそうしたリスクを抱える可能性があることがわかっています。

例えば出生時の体格が小さかった人は冠動脈疾患、高血圧、高コレステロール血症、グルコース・インスリン代謝異常の発生率が高かったといった報告もあります。

(Godfrey KM et al:Fetal nutrition and adult disease.Am J Clin Nutr:2000 May;71(5 Suppl):1344S-52S.doi:参照)

また

痩せている(低栄養)こと以外でそうしたリスクを高める要因としては

“低身長”であることや

間接的なものとの関連で言えば“家計収入”との関係なども報告されています。

(参照:低出生体重児の母体要因に関する疫学研究)

“低身長”に関しては

低身長の人は骨盤が小さく、胎児の成長を制限することや健康の蓄積が少ないことによって胎児への栄養提供が少なくなるためと考えられており

“家計収入”に関しては同論文で

「日本女性のやせ志向の社会風潮の中、家庭経済状況が良いほど女性が自分の体形美の追求を増幅させることに関連しているかもしれない。」

と記載されています。

 

肥満であることを問題視する情報は多く目にしますが反対に痩せている(痩せすぎる)ことに関してもデメリットはしっかり存在します。

ただやはり痩せていることに関しては美容面の評価が高くなることや、社会的に問題視される頻度は肥満ほどは顕在化しない現状であると思います。

例えば標準体重(BMI22)よりも低い体重で

美容体重

というものがあります。

これはBMIでいうと大体”19″くらいを指すようです。

そして最近ではその美容体重を更に下回る

シンデレラ体重

なるものまで存在します。

シンデレラ体重はBMI18とされており前述した

  • BMI18.5未満:低体重(痩せ)
  • BMI18.5~25未満:普通体重
  • BMI25以上:肥満

の基準で言う低体重に含まれます。

ちなみに“BMI18”というと、、、

身長150cmなら40.5kg

身長160cmなら46.8kg

身長170cmなら52.02kg

になります。

相当痩せてますね(笑)

そのくらいの低体重を「理想の見た目であり綺麗である」といった価値観が浸透してきています。

こうした趨勢には少し注意が必要ですね。

 

まあ私は、、、

かつてこのシンデレラ体重を更に下回っていた時期があったり、気をつけているとはいえ今でも比較的その近辺をうろうろしている傾向なので実はあまり偉そうなことは言えないのですが(笑)

また余談ですが

数年前にフランスではこうした痩せ礼賛の文化に対しての懸念も強く、極端に痩せているモデルたちの活動を禁止する法律が施行されました。

この法律に違反したモデルを起用する事務所の雇用主などは、最大7万5000ユーロ(約930万円)の罰金および最大6カ月の禁固刑を科せられるようです。

フランス国民議会が2015年4月に可決した法案では

BMIが18を下回るモデルの活動を禁止する

という内容だったようであり、まさにこのシンデレラ体重の域の禁止を訴えた形ですね。

しかし当然ファッション業界幹部やモデル事務所からの抗議があったことも影響し、実際に施行された法律ではモデルのBMIの下限を設定していないようです。

確かにいくら痩せ礼賛の価値観の浸透が健康に不利益だからといってそれを危惧して法律で規制することまでに関しては賛否が分かれるところだと思います。

非常に難しい問題ですね。

必要性の有無はともかくとして勿論、日本では今こうした規制などはないですが自分の健康やまた場合によっては生まれてくる子供のためにもその辺はちゃんとした情報を集めた上でリスク管理し、自分にとって良い選択を出来るようにしていきたいですね。

今回は簡単に痩せていることのデメリットとして

  • 死亡率
  • 低出生児

の2つだけを紹介しましたが勿論それ以外もデメリットは存在します。

何かある物事を考えたり捉えたりするのは極端にブレる方が非常に楽であり、例えば今回の話でいうと痩せてることは良い、太っていることは悪いといった感じでの二元論でもし片付けられるならそれは楽ですね。

またそうした一問一答の◯✖️で答えた方が分かりやすく、注目されやすく、面白みもあるのですが私自身はそうした偏った考えを持って失敗したことが沢山あったので今は反省し、物事を単調に捉えすぎないように気をつけています。(笑)

そのため自分で言うのも何ですが、そういう意味では申し訳ないですが私のブログは悪く言えば中途半端です。(笑)

シンプルにできるに越したことはありませんが現実に起こりうる問題は義務教育や資格試験の問題のように◯✖️だけで判断できるわけではないのでやはりある程度は複雑なものは複雑なまま理解しないといけないなと思っています。

何の本かは忘れましたが昔読んだ本の中で確か

学校では答えのある問題を解き続ける能力が問われるのに対して

社会では答えのない問題に常に問い続ける能力が問われる

といった感じの言葉が書いてありましたが、なるほどと思いました。

何でも絶対的な正解があると考えて変にそういったあるはずのない正解を求めにいくよりもどんなことも是々非々で捉え、ある程度複雑なまま理解しつつその中でバランスをとり続けることも重要かなと思いますね。

今回の話で言えば太っていること、痩せていることはどちらにしてもメリット、デメリットは存在します。

ましてや極端に偏ればどちらも非常に問題となります。

そのためどんなこともバランス良く情報収集し実生活に活かしていきたいですね。

特に私は痩せ体質なので痩せに対してのデメリットには要注意です(笑)

4.まとめ

  • 痩せていることにもデメリットは存在する。
  • 痩せている人はそもそも食習慣に問題がないと思っている人が多い?
  • 肥満の人以上に痩せている人は死亡リスクが高い。
  • 痩せは低出生児出産のリスクの一要因になる。
  • 低出生児は近年増加傾向で問題視されている分野の1つ。
  • 低出生児は出産後の罹患率・死亡率が高いのに加えて、成人後の高血圧、脳卒中、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病になるリスクが高い。
  • 美容体重、シンデレラ体重には要注意。

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