スタンディングデスクで腰痛予防?その効果と注意点とは?

世界的に見ても、日本人は座っている時間が長いといわれています。

 

世界20か国における平日の座位時間

(引用:厚生労働省の資料)

 

過去に私のブログで疲れやすい人は、座りすぎているから疲れている可能性があることをご紹介したことがあります。

(過去ブログ:デスクワークでも疲れるのはなぜ?実は座っている方が疲れを感じやすい?)

 

また、太っている人はそうでない人に比べて、1日平均2時間程度長く座っていることをご紹介したこともあります。

(過去ブログ:めんどくさがり屋の方にもおすすめ。肥満解消につなげる運動方法とは?)

 

 

こうした方たちは、日常の中でも少しでも立っている時間を増やすことがおすすめと言えます。

 

 

今日はそうした座位にからめて、1つご紹介したいことがあります。

 

 

それが、腰痛です。

 

具体的には、スタンディングデスクを取り入れることで腰痛のリスクを減らすことができるのかといった内容についてです。

 

1.長時間の座位姿勢は腰にとってよくない。

 

聞いたことがある人も多いかもしれませんが、長時間の座位姿勢は腰にとってストレスが大きく良くありません。

 

例えば、椎間板内圧は立っている時よりも、座っている時の方が高まることがわかっています。

 

またとある研究報告によると、男性では1時間程度、女性では2時間程度の座位で腰が硬くなるといった現象も確認されています。

そして、そうした現象は長時間座った後の腰痛のリスクを増加させ、腰痛の一因となる可能性があることが指摘されています。

(参照:Tyson A C Beach et al:Effects of prolonged sitting on the passive flexion stiffness of the in vivo lumbar spine. Spine J. 2005)

 

 

そうしたことから、中にはデスクワークを実施する際に、スタンディングデスクを用いている企業もあるようです。

 

実際にIT関係の人で、会社でスタンディングデスクが導入されているといったことをお話されている方がいました。

 

それでは、実際にそうしたスタンディングデスクの導入は腰痛のリスクを減らすのでしょうか。

 

2.スタンディングデスクに腰痛解消効果はあるの?

 

実際にこうしたことを調査した研究があります。

 

デスクワークの長時間立位は、座位よりも腰痛の自覚症状が低くなるのかといった調査です。

 

 

結論を先に言うと、

 

その論文の結論としては、デスクワークのために座ることを立つことに置き換えることは推奨されない。実際、どちらの姿勢も問題であるように見えるといったものでした。

(参照:Diana De Carvalho et al:Does objectively measured prolonged standing for desk work result in lower ratings of perceived low back pain than sitting? A systematic review and meta-analysis. Work. 2020)

 

 

デスクワークの人にとって、スタンディングデスクの導入は腰痛リスクを減らしてくれそうな印象がありますが、どうもそうとは言えないようです。

 

参照した論文は、一般的にエビデンスレベルが1番高いと言われるシステマティックレビュー/メタアナリシスになります。

 

ただそれでも補足したいのが、こうした結果だからといって全く無駄かというと、そうとも言えないところもあります。

 

この論文内自体にも、本研究の結果は、そもそもの対象研究の数が少ないことや対象研究のサンプルサイズが小さいことを考慮し、慎重に解釈する必要があると記載されています。

 

そのため、こうした報告だけを基に、スタンディングデスクは腰痛対策として全く意味がないと切り捨てるのはやや早計です。

この点に関しては、今後の研究報告を少し待った方が良いとも言えます。

 

3.腰痛と姿勢に関しての補足。

 

最後に、こうした腰痛に関して少しリハビリ的な観点から補足します。

この論文にも書かれていることですが、基本的に座位姿勢も立位姿勢も長時間になると、どちらも良いとは言えません

 

というよりは、

どんな姿勢であっても同じ姿勢をずっと取り続けるということ自体がオススメできません。

 

私もリハビリ時に姿勢指導を行います。

 

便宜上、理想の姿勢といった表現を用いますが、実を言うとそうした理想の姿勢であったとしても、その姿勢をずっと取り続けていることはあまり良くないと考えられます。

 

悪い姿勢は様々なタイプに分類できますが、そうした悪い姿勢と比べると、ストレスはきれいに分散されており、どこかを痛めるといったリスクは少ないことは間違いないと言えます。

 

事実、腰痛に関してもneutral posture(中立的な姿勢)が腰痛になる可能性が最も低いと報告されています

(参照:Classification of sagittal thoraco-lumbo-pevic alignment spine in standing and its relationship to low back pain)

 

 

しかし、それも極端な話、ずっとその状態をとり続けると結局は、ストレスは持続的にかかり続けることになります。

 

腰痛に限らずですが、力学的なストレスはなるべく、一か所に集中しないように普段から分散させるのが理想となります。

 

それは良い姿勢とは関係なく、立っていようが、座っていようが、長時間同一姿勢でいれば嫌でも力学的なストレスは蓄積されていきます。

 

そのため、こうしたデスクワークでも「立っている方が良い(悪い)、座っているのが悪い(良い)」といった単純な話にはなりません。

それよりは、普段からストレスを分散させる、、、例えばデスクワークであれば、立っている時間と座っている時間を交互にとるといった方法が良いと思います。

 

人に限らず生物は生まれた時から、重力というストレスが常にかかり続けています。

 

運動不足が良くないのは、動く量が少ないと必然的に、重力を含むそうしたストレスがある一定の場所に集中してしまうといったこともあります。

 

一部例外はありますが、腰痛持ちの人で、そんなにひどくなければ、普段の姿勢や動きを少し変えるだけでも症状が軽減する人は多くいます。

 

比較的若い人であれば、これは普段リハビリを行っていても、よく経験します。

というのも、姿勢が悪いというのも様々なパターンがあり、気を付けるべきポイントは想像以上に細かく存在します。

 

そして、そのポイントは人によって違います。

ただ、そうした細かいポイントを少し変えるだけでも、ストレスは分散されます

 

私が便宜上、理想的な姿勢といって姿勢指導するのも、単純にその姿勢をキープすることが正しいからというだけではありません。

 

変な話ですが、それは私も含め理想的な姿勢をずっとキープすることはそもそも不可能といっても良いかもしれません。

ただ、気が付いた時にその姿勢や動作を作ることによって、その間だけでも普段集中して、かかり続けているストレスから解放されるからです。

 

何も24時間ずっとその姿勢でいる必要もありません。

むしろそこまでキープすることは不可能な上に、仮にできたとしても有害かもしれません。

 

ただ、姿勢も動きも普段のその人の強い固有のパターンが存在するので、そのパターンによって生じるストレスから解放される機会を作ることができれば良いのです。

 

ひどくない人であれば、本当にそれだけでも痛みなどの症状が軽減する人が多くいます。

 

 

ただ、

 

それでは自分が実際にどういったパターンを持っているのか?

 

そして、

 

自分がそのパターンから抜け出すためにはどういった方法が良いのか?

 

という点は非常に専門的になります。

 

これに関しては、なかなか実際に会って確かめないと難しいのが現状です。

各関節や筋肉の硬さ、姿勢を含む微妙な関節の位置関係の把握、動作時の筋肉の働き方などに関しては、どうしても触れないと評価ができません。

 

個人的に、これは本当にどうしたものかと思います。

 

 

というのも、実は医療機関にかかるほどではないけど、そういった身体の不快症状を抱えている人に貢献できるようなサービスを提供できないかと思っています。

 

ゆくゆくはそういったサービス提供をしていきたいところです。

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