セルフケアのステップ!”くっつき”を解消して肩こりを改善する方法とは?

前回は肩こりについて基礎疾患をもとに出現する症候性肩こりと原因不明の原発性肩こりについて紹介しました。

 

目立った基礎疾患がなく、健常者の方にとっては後者の原発性肩こりになることが多いと言えます。

そして、実際にリハビリやセルフケアなどによって改善が見込めるものもこちらのタイプの肩こりになります。

 

今日はそんな一般的に言う(原発性)肩こりについて少し掘り下げていきます。

 

1.肩こりの発生メカニズムは?

 

前回の記事でも書いた通り、肩こりについては原因が解明されていないのが現状です。

 

しかし、だからといって全く対処の仕様がないと言うわけではありません。

 

ただ、そうは言っても解消可能な肩こりにしてもそれに至るメカニズムや原因は多種多様であり、その原因によりケアする方法も変わってきます。

 

その中でも今日は、まずは基本的なことについて記載していきたいと思います。


 

そもそも”肩がこる”とはどういう状態でしょうか。

 

肩がこるというと筋肉が硬くなっている状態を思い浮かべる方が多いと思います。

 

私たち人の身体にある全身の筋肉は安静時、運動時を含め多かれ少なかれ常に緊張しています。

 

 

そのため、筋肉が緊張状態にあること自体は生きていくことでは必然であり、決して悪いことではないと言えます。

 

しかし、その筋肉の過度な緊張状態が長く続いてしまうとなると話は別です。

筋肉内の血流が悪化し、本来は血流により排出されるはずの疲労物質が排出されず蓄積されてしまいます。

 

この疲労物質が溜まることで神経が痛みや疲労感、重だるさなどといった形で脳に信号を送り私たちの普段の肩こりの自覚症状として現れてきます。

 

そして筋肉自体もどんどん硬くなってしまいます。
 

このようにして筋肉内の血流の循環が悪くなると肩こりが出現します

 

なので身体の筋肉は緊張と弛緩を繰り返し普段から動きを保ち循環の良い状態を保っておくことが理想となります。

 

ここでポイントとなるのが、

筋肉内の血流の悪化は、同じ筋肉の過剰使用で悪化する場合もあれば、正反対に筋肉を動かさなさすぎて悪化する場合もあるということです。

 

つまり、肩に限らず腰なども含めて筋肉のコリというものは筋肉の使いすぎが原因の場合もあれば、反対に使わなさすぎることが原因となっている場合もあるのです。

 

そのため、”コリ”という症状は同じであっても、その”コリ”が発生した原因は真逆であるといった場合があり得るのです。
 

 

こうした出現した症状に対して原因が多種多様であるだけでなく、時には正反対であることはそんなに珍しいことではありません。

 

こういったことから、もし痛みや重だるさを抱えた人に対して、アドバイスをする際には実際にお会いして、確認していくことが確実で理想ではあります。

しかし、個体差はあるにしても大まかには構造が同じである以上は私たち人が陥りやすいパターンといったものが存在します。

 

2.筋肉の緊張状態が続くとどうなる?

 

筋肉内の循環が悪くなるとコリ症状が出現し硬くなると述べましたが、この状態がさらに続くとどうなるのでしょうか。

 

元々筋肉自体が緊張と弛緩をうまく繰り返すことができていなかったために循環不良に陥るわけですが、この筋肉の緊張と弛緩が繰り返されない状態というのは言い換えれば筋肉自体の動き幅が普段から小さい状態と言えます。

 

そして、普段から動きの少ない部位は周辺の軟部組織とくっついてしまいます。

 

例えば筋肉と皮膚の間には皮下筋膜と深筋膜というものが存在しますがこれらは軟部組織間を滑らすように動かす作用を持っていると言われています。

 

これらがくっついてしまうと皮膚と筋肉間の滑りが悪くなり、本来はスムーズに動くことができていた筋肉もそれらのくっつきによって、動きたくても動けない状態へと陥ってしまいます。

 

ある程度の年齢の人に限らず、若い人でも肩こり症状が強い方というのはこのくっついた状態へとなっている方が多く存在します。
 

そして厄介なことにこのくっついた状態へと一度なってしまうといわゆる普通のストレッチだけでは、筋肉がうまく動かされずにコリ症状等の改善へと繋がらない身体へとなってしまいます。

 

もちろん、肩こりにストレッチが有効な場合もあります。

 

しかし、このくっついた状態へとなっている人に関してはまずはこのくっつきをしっかり解消した上でストレッチを行っていただくように私は声かけを行っております。

そのため、ストッチや運動を取り入れていただくことは勿論重要ですが、その前段階としてまずはこのくっつきの有無を確認しておくことは知っておいて損はないと思います。

 

3.くっつきをとるにはどうしたら良い?

 

運動やストレッチなどのセルフエクササイズの効用を阻害する可能性の高いこの”くっつき”ですが、セルフでの確認方法は単純です。

 

それは首から肩にかけて、特にコリや張り感の強い周辺の皮膚をつまみます。

 

本来は容易につまむことができますがこのくっつきがひどい人はこの皮膚をつまむということが難しくなります。

もしくは、つまむことができても弱い力でつまんでいるにも関わらず痛みが出てしまいます。

 

私はよく最初は患者さん自身に自分の皮膚をつまんでもらった後に、私の身体の同部位の皮膚をつまんでもらいます。

大抵はそのつまみやすさや柔らかさの違いに驚かれる人が多くいます。皆さんも同じ部位の皮膚のつまみやすさを人と比べてみるのも面白いと思います。
 

そしてこのくっつき解消のセルフケアとしては状態に合わせて私の場合は主に3段階に分けて行ってもらっています。

 

下記に番号順に記載します。①→②→③の順にレベルが上がります。問題ない人は最初から②か③のセルフケアをやってもらっています。

 

  1. まずは自分では全くつまむことができない人に関しては、皮膚を横方向や縦方向、円を描くようにといった感じで色んな方向へ撫でてもらっています。
  2. 1のセルフケアをやっていくと少しずつ皮膚がつまみやすくなってくるのでつまめるようになった時点で皮膚をつまんでもらうようにしてもらいます。
  3. ある程度余裕を持ってつまめるようになれば、今度は皮膚をつまんだ状態で縦、横方向と色んな方向へ軽く引っ張ってもらいます。

 

くっつきに対してのセルフケアとしては上記に書いただけとなります。ただ注意点としては本当に弱い力で行います。

 

特にくっついている方は少しつまんだり、つまんだまま凄く軽く引っ張っても痛みが出ます。

 

あくまでも気持ち良い程度で大丈夫です。

強くやると、ある程度時間がたってから少しヒリヒリした感じが出てくるかもしれませんがその場合は少し力が強いと思います。

 

しかし、そのヒリヒリも安静にすることで、確実にその症状は消えてくるので、その反省を踏まえてまた少し力を弱めて適度な力の強さを見つけていただければと思います。

 

このセルフケアに関しては極簡単であり、これだけで全てが改善するわけではありませんが、この”くっつき”に関しては、まず最初に解消しておくことが重要となります。

 

肩に限らずですが、このくっつきを放置したままではストレッチや運動の効果が出にくい可能性が高いのでご紹介させていただきました。

 

そしてその最初の下地を作った上でまた今後紹介していく体操で適用となるものを選び参考程度に取り入れていただければ幸いです。

 

4.まとめ

 

  • 肩こりの原因の一つとして持続的な筋肉の緊張状態がある。
  • 筋肉の緊張状態の長期化により筋肉とその周囲の軟部組織がくっつき、筋肉が更に動きにくい状態へとなる。
  • くっついた状態ではストレッチなどのセルフエクササイズの効果が半減する可能性がある。
  • “くっつき”はつまみセルフケアで解消する。

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