運動が続かない!運動を続けるための心理的アプローチについて解説!

 

 

あなたは以下のような経験をしたことはないでしょうか。

 

運動が大切なのはわかっている。

 

運動は続けないと意味がないのもわかっている。

 

けど続けることができない。

 

働きながら運動を続けるなんてできるわけがない。

 

そもそも運動が嫌い。

 

こういった悩みを持っている人は多いと思います。

 

 

 

学生時代は運動をよくしていた人であっても、社会人となってからはめっきり動かなくなったという人も多いのが現実です。

 

そして日々の仕事に追われた忙しい中、運動を継続的に取り入れるということは困難極まることだと思います。

 

ただ同時に、働きながらも継続して、運動ができている方がいることも事実です。

 

何故、同じように忙しいのに、あの人は運動を続けることができているの?

 

今日はそんな悩みについて少しお答えしたいと思います。

 

 

1.緊急ではないけど、重要なことに向き合うことが重要。

 

 

運動は若い内からしておくことに越したことはありません。

しかし、私たちが若い内というのは大半が働いています。

これは、若い内から運動をするには大きなハードルを越えなければならないことを意味します。

 

現役世代が運動を継続することの難しさ。

 

 

若い人が運動を継続するには、ただ運動を続ければ良いわけではありません。

 

“働きながら”運動を続けないといけないのです。

 

これは非常に大きなハードルとなります。

 

名著「7つの習慣」から学ぶ教訓。

 

 

スティーブン・R・コヴィー氏の7つの習慣という有名な本があります。

 

それによると日常業務は4つに分けられるとしています。

  • 緊急で重要なこと。
  • 緊急で重要でないこと。
  • 緊急ではなく重要なこと。
  • 緊急ではなく重要でないこと。

 

緊急で重要なこと”は当然ながら最優先に時間を割かなくてはいけません。

例えば災害にあった際には、自分や周りの人の身を守るために素早く対処しないといけません。

こういったことを後回しにすることはできません。

 

そして次の”緊急で重要でないこと”の代表例として、仕事があります。

仕事の7割はこれに該当するとしています。

確かに災害などと比べると、今すぐにでも対処しないといけないことではありません。

 

しかし、普段の生活を送る上ではほとんどの人がないがしろにはできない事柄です。

 

そして次の”緊急でないけど重要なこと”。

(4つめの緊急でなく重要でないことは、文字通りなので省略します。)

 

ここに如何に焦点をあて、時間的リソースをあてられるかがカギとなります。

緊急でないけど重要なこととは、日々の勉強やスキルアップへの努力、人間関係作りなどがあります。

そして、運動もここに該当します。

 

運動をする目的は人によって様々かもしれません。

代表的な理由としては健康管理(心身両方)としての運動が挙げられます。

 

これらは今すぐやらなかったからといって、すぐに問題となるわけではありません。

 

ただ長い目で見た際には、この”緊急でないけど重要なこと”に力を入れ続けた人と、そうでない人とでは大きな差がでてきます。

 

人は将来の事ほど、その価値を割り引いて感じる生き物です。

反対に目先の損得に対しては過大評価する性質を持っています。

これを経済学では時間割引と言ったりします。

 

いくら頭で将来的にリスクとなるとはわかっていても、実際に行動を起こせる人は限られます。

将来のことを言われたり、考えてもなかなか実感としてわかないからです。

また、いくら医師やその他専門職の人が健康のためといい、リスクを伝えて運動を勧めても解決に至ることは少ないのが現実です。

 

リスクを伝える・知るだけでは、他人のやる気を引き起こすことは難しいのです。

 

 

頭ではわかっていても、行動にうつせない、やめられない。

 

これは誰しもが経験したことがあると思います。

 

運動が続けられないというのは、まさにこうしたあるあるの1つと言えます。

 

2.運動が嫌い・続かない理由とは。

 

 

“運動が嫌い”、”続かない”を解決する方法。

 

 

運動なんて嫌いだし、続けられない。

 

けど運動はした方が良いのはわかっている、、、どうしたら良いの?

 

その答えは

 

運動嫌いを克服すること。

 

です。

 

 

いや、運動は嫌いって言ったやん

 

となるかもしれません(笑)

 

 

ただ、実はこの発想が重要なのです。

 

運動が嫌いでは、スタート地点に立つことすらできない。

 

 

というのも運動嫌いの人は、運動の継続をする観点からいうとスタート地点にも立つことができません。

 

まずはその努力の方向を変えないといけません。

 

なぜなら運動嫌いのまま、運動を続ける方法を探すということは非現実的であるからです。

 

それよりも運動嫌いを治す、克服する方が十分に現実的な方法論となり得ます。

そして運動嫌いを治すことそのものが、運動を続けることに繋がります。

 

これは無根拠で言っているわけではありません。

 

働きながら運動が継続できている人とできてない人の違いとは。

 

 

忙しい労働者でも運動継続が出来ている人の特性について調べた研究があります。

 

その研究によると、労働者における運動継続の動機として「楽しさ・高揚感」が最も重要であるといったことが報告されています。

 

そして、そうした運動の楽しさに対する良いフィードバックが運動継続へのアプローチとして有効であるといった報告がされているのです。

(江口 泰正.井上 彰臣.太田 雅規.大和 浩.運動継続者に見られる継続理由の特色-労働者における運動継続への行動変容アプローチに関する研究-)

 

 

以前に運動継続化の螺旋モデルというものを紹介しました。

そのモデルの中にある運動継続のために重要な因子として快適経験があることを紹介しました。

(過去ブログ参照:運動をするなら絶対に気を付けておきたいこと3選。

 

誰でも不快なことや嫌なことを続けることはできません。

反対に言うと、楽しければそこまで意識的に無理して頑張らなくても続けることができます。

 

 

いや、それでも嫌いなものは嫌いだからどうしようもない、、、

 

 

と感じたかたもいるかもしれません。

私の経験としても運動嫌いの人には沢山出会います。

 

ただ同時に、昔は運動嫌いだったし全然やらなかったけど、今はしているといった方にも多く出会いました。

 

運動嫌いの始まりとなりやすい体育授業。

 

 

私の経験として感じるのは、運動嫌いな方が話されるエピソードとして学生時代の体育授業を引き合いに出される方が多くいます。

 

運動音痴で体育が嫌いだった。

 

身体は固いし、運動が苦手で体育の時間が苦痛だった。

 

それ以降運動は嫌いでしなくなった。

 

といったものです。

 

3.あなたの運動嫌いは本当に運動嫌い?

 

 

自分が思っているほど、運動音痴でない人が多い。

 

 

ただ、こうした経験をお持ちの方に多く接してきた私の印象として1つ意外な事実があります。

 

そう話されている人が本当に運動音痴で運動神経が悪いかというと、実はそんなこともない人が多くいるというのが正直なところです。

 

そういう方は運動の苦手意識が過剰に強いだけで、実は運動神経自体は本人が思っているほどは全然悪くないことが大半です。

 

身体機能的には人と比べてそんなに劣っているわけではなく、本人がそう思い込んでいるだけというケースが多い印象があります。

 

苦手意識がなくなれば好きになりやすい。

 

 

得意なことであれば、当然ながら人はそのことを好きになります。

反対に苦手だったり、うまくいかないことが多いと、失敗を重ねたといった意識ばかりが積み重なります。

そうなると、当然その出来事に関しては向き合う度に自尊心が傷ついてしまうため避けるようになってしまいます。

これはごく当然のことだと思います。

 

失敗に向き合うことは時に大事ですが、それは大変でストレスがかかります。

ましてや、余暇時間にわざわざそういったことを好んでしようとする人はなかなかいないと思います。

 

余暇時間を使ってそんなことを続けるのは、なかなかの拷問です。

わざわざそんな苦行のようなことを続ける方法を考え、仮にそれが実行できたとしても苦行であることに変わりありません。

仮に継続するという目標を達成したとしても、苦行をずっと続けることになるのでストレスが増えてしまいます。

 

それならいっそのこと、その”苦行”となってしまっているものを”楽しい“と感じる出来事に変えるように働きかける方がよっぽど現実的です。

そうすれば継続も楽になるだけでなく、ストレスもかからないどころか、むしろストレスの発散方法の1つにもなり得ます。

 

運動が嫌いになってしまった理由。

 

 

そうなってしまった原因として考えられるのは、以下のようなものがあるのではないかと考えています。

  • 運動経験自体の少なさ。
  • 成功体験の少なさ。
  • 良い運動指導者に出会えなかった。

といったことが関係しているのではないかと思います。

 

運動部に入っていない方であれば、運動経験のメインが体育の授業になる方が多いと思います。

 

その体育授業の経験から運動の苦手意識が芽生えた人も多いと思います。

しかし、この体育授業から得た経験だけで判断するのには少し問題があります。

 

体育授業は数ある運動の中の一部に過ぎない。

 

 

これも過去にも取り上げた内容ですが、というのも

体育の授業は、概ね速筋優位の種目や動作が多いといった特徴があります。

 

 

筋肉は大きくわけて速筋遅筋に分けることができます。

速筋は瞬発力を発揮する筋肉、遅筋は瞬発力はないものの持久力のあるといった特性をもつ筋肉です。

 

つまり、速筋優位の種目や動作とは瞬発力を強く求められるものを指します。

 

子供のころの数か月というのは大人と違い、大きな差となります。

当然ながら、4月生まれの子供と3月生まれの子供では、体格や骨格にも大きな差がでてきます。

そのため早生まれの子は体育授業では、周りと比べた際に成功体験が乏しくなってしまう可能性が高いといえます。

 

では、ある程度大きくなると問題がないかというと、そういうわけでもありません。

小学校高学年やそれ以降になるとまた”別の問題”が出てきます。

 

それは、体育授業で行う運動に今度は”技術”の要素が入ってくるということです。

マット運動や跳び箱、鉄棒、サッカー、バスケといった種目特有の技術が必要な動作が体育の授業に入ってきます。

 

こうなると指導者に専門的な能力が必要とされます。

 

  • その競技や動作にはどういった技術が求められるのか。
  • その技術取得にはどういった身体機能が必要なのか。
  • 目の前の子には何が足りていないのか。
  • 反対にその子の強味は何なのか。
  • ではそれらはどうやったら活かされ、改善できるのか。
  • どういった指導方法がその子には有効なのか。

 

 

といったような専門的な知識や、それぞれの個人に合わせたオーダーメイドな指導が必要となってきます。

 

生徒も多い中、学校の先生にそれを求めるのは酷な話です。

 

そうなると当然、できない子もでてきます。

 

4.実はあなたは自分が思っているほど、運動音痴ではない可能性が高い。

 

 

運動ができなかったのは、別にあなたが運動音痴だったわけではない?

 

 

ここで重要なのが、”そのできない・できなかった”という事実が、本人が運動音痴だったからというわけではない場合が多く考えらるということです。

 

  • たまたま、自分の身体の特徴や身体機能(発達過程を含む)が体育の授業内容とマッチしていなかっただけ。
  • 運動指導者の指導内容が自分にあってなかっただけ。

 

といった可能性が十分に考えられます。

 

実際に運動に苦手意識を持っている人でも、リハビリなどで運動指導に入ると、私が驚くくらいに速いペースで次々と課題をこなせてしまう人がいます。

 

以前に新しいフォームを獲得するには一説では300~500回、間違ったフォームを訂正するには3,000~5,000回程度の繰り返しが必要であることをご紹介しました。

 

ただ中には、指導した直後はすごく動きが拙劣で不器用だった人でも、次に来た時にはすぐにできてしまっている人もいます。

わかりやすく表現すると、非常に吞み込みが早い、運動センスの良い人がいます。

 

そんな中にも「自分は運動音痴で運動は苦手です。」と言われていた方も多くいました。

 

運動音痴では全くなく、私の経験から言わせれば十分すぎるくらいに運動センスがあると感じさせられる方にも関わらず、、、。

 

 

何が言いたいのかというと

運動音痴と感じているのは本人のただの勘違いであることが十分にあり得る

 

ということです。

 

 

運動嫌いを克服する鍵は、”自己効力感”と”小さな成功体験の積み重ね”。

 

 

自分ができるという感覚を心理学で”自己効力感“と言います。

自己効力感は何かを継続したり、やる気を引き出すには必須のものとなります。

 

そしてその自己効力感を規定する重要な因子の1つとして成功体験があることが分かっています。

更に、成功体験は運動継続の螺旋モデルでは、運動継続のための重要因子の1つでもあります。

 

 

運動嫌いの人の中には、昔の成功体験の少なさから、自分が運動に向いていないと思い込んでいる人がいます。

 

そしてその成功体験の少なさは、ただ単に経験の数が少なすぎた場合もあれば、指導者があってなかったり、挑戦した運動内容が自分にあっていなかったという環境の問題のせいであった可能性が十分に考えられます。

 

どちらにしても、本人の能力の低さが原因でない可能性が非常に高いのです。

 

 

職種に限らず、運動の専門家はその人に見合った運動を提供すべきです。

そして、その人の現状に合わせたプログラムを提供し、小さな成功体験を作り出すことが求められます。

 

提供する側としてはこれが非常に難しいところですが、こういった成功体験をした人は本当にみるみる内に運動が好きになっていきます。

運動は嫌いと言っていた人の中でも、運動の楽しさや重要性を感じたと楽しそうに話されることが多くあります。

 

こういった言葉をかけられるのは普段仕事をしていて、この上なく嬉しく感じる瞬間です。

 

人は嫌なことを続けるのは困難である。

 

 

私の普段の経験からも言えることですが、嫌な運動を続ける方法を模索し、それを獲得することは正直なところ難しいと思っています。

それは本当に見込みの低い、いばらの道となります。

 

私もそうですが、嫌なことは、とてもじゃないですがずっと続けることはできません。

一時であれば気合で続けることはできても、それをずっと続けることはできません。

 

そうした、いばらの道を歩み続けるくらいなら、いっそのこと嫌だと感じている中に、楽しさを見出す方が効率的です。

 

特に運動に関しては、その嫌いと感じている状態を好きになる状態にもっていく方が、俄然とハードルが低いといえます。

 

そして好きになる、もしくは好きにならなくても、一度でもそれが効果を生むものだと感じたり、重要性を実感すれば人は自然と続けるモチベーションがつくられます。

 

運動初心者は理屈抜きで取り組むのも有効な場合がある。

 

 

私は一応は(笑)運動専門職の端くれなので、このブログは理屈的に書いていることが多いです。

 

ただ実はというと、運動のスタートに限ってはそういった細かい理屈なんか抜きにしても全然良いと私は思っています。

運動を提供している職種の人からは怒られそうですが、何も全くの根拠なしに無責任に言っているわけではありません。

 

過去ブログでも運動をするなら継続が重要であることを書きました。

(過去ブログ参照:運動をするなら絶対に気を付けておきたいこと3選。

 

そして運動を継続するには、快適経験が必要であることや、小さなことでも良いので成功体験を生むことが重要となります。

 

そこに焦点をあてると実は理屈なく、取り組んでいただくのも良いと思っています。

 

5.運動を継続させるためのポイントとは。

 

 

最後にそれに関連させて、有酸素運動と筋トレについての豆知識をご紹介したいと思います。

 

 

有酸素運動を続ける際のポイントとは。

 

 

まず有酸素運動ですが、何を目指すかによって適切な負荷量は異なってきます。

そのため、その目的に合わせた負荷設定をするのが理想ではあります。

ただ、運動は続けなければあまり意味がありません。

負荷量設定の正しい運動をして続かないよりは、負荷量設定が曖昧でも続けることができている方が圧倒的にメリットを見込めます。

 

そのため、運動を継続することを重視すると、そんな小難しい理屈は抜きにして、ただ単に本人が心地よいと感じる主観に頼った有酸素運動を取り入れることも十分に効果的です。

 

例えば快適自己ペース(Comfortable Self-Established Pace:CSEP)という概念があります。

これは名前の通り、本人が快適と感じるような負荷を意味します。

 

この概念の意義としては、よくあるような負荷量の設定を運動の効果のみに置くのとは異なり、一線を画した面白い概念です。

 

運動の継続化を最優先とし、その継続の結果として運動の効果を目指すというものです。

 

先ほど、運動の継続には快適経験が重要であることをご紹介しました。

そして、そのようなポジティブな感情というものは、強度が低い運動であっても引き出されることがわかっています。

 

どんなに理屈的に正しいと考えられる負荷設定であったとしても、本人が不快に感じてしまっては続きません。

それこそ、運動嫌いを助長してしまう可能性さえあります。

 

ポジティブな感情を引き出すには、そうした理屈的な負荷よりも、運動する本人にとって心地よいと感じるかどうかが最重要であるということです。

 

運動の負荷強度は自分の感覚にゆだねる。

 

 

つまり、運動の負荷強度を決めるのはあなた自身です。

 

そして厄介なことに、本人が心地良いと感じる負荷というのは、個人差がある上に抽象的でわかりにくいものです。

 

そのため、この本人が心地よいと感じるといった非常に抽象的な部分に関しては、現時点では、理屈よりも主観に頼る方が正確である場合があります。

 

更に面白いもので、たとえ同じ負荷量であったとしても、それが人から設定された場合と自分で決めた場合ではポジティブな感情が生まれるかどうかには差があるといった報告があります。

 

同じ負荷量でも、人に決められたものより、自分で決めたものの方が運動後の快適さが大きい。

 

 

同じ負荷量であったとしても、人から決められた負荷量でなく、自分で決めた場合の方がポジティブな感情が高かったといった報告があります。

 

こうした自己選択した負荷強度での運動でみられる、ポジティブ感情の増加は初期の段階ほど大きな効果がみられるようです。

 

詳細は割愛しますが、こういったことから、有酸素運動1つとっても、何も最初からどんな負荷量が良いかにこだわりすぎる必要はないと考えられます。

 

それよりは、自分が心地良いなと感じる主観で有酸素運動を行うと、ポジティブな感情が想起されます。

そうなると自然とまた運動をしたいと感じる可能性が高いのです。

 

筋トレを続ける際のポイントとは。

 

 

次に筋トレですが、これも運動初心者であれば、近い考えを取り入れることができます。

どんな理由であれ筋トレをするからには、何かしらの結果がでないと面白くありません。

 

筋トレで結果を出すにはある一定以上の負荷量を超える必要があります。

そしてその方法論や注意点というものは沢山あります。

 

しかし、初心者の方であればそこまで難しく捉えなくても良いのも事実です。

 

筋トレ初心者が知っておきたい、”初心者ボーナス”とは。

 

 

実は筋トレには、初心者ボーナスというものがあります。

 

中級者以上になると筋トレをする上で、適切な筋トレ理論を用いないと結果はついてこないことが多いですが、初心者はそうではありません。

 

極端な話、初心者はたとえやり方が多少間違っていようと、ある程度継続して行っていると嫌でも結果がでてきます。

 

よく趣味で筋トレをして、筋肉をつけた人が、その成功体験から独自のメソッドを紹介することがあります。

しかし、その中には誤った方法であることも少なくありません。

 

そうした背景がある理由として初心者は多少やり方を間違ったとしても結果がでるからです。

そして結果がでたことから、筋トレ理論的には本来は間違ったことであっても、効果がでるから正しいと思い込んでしまい、紹介しているケースがあります。

 

一見、説得力のある”3た論法”には注意。

 

 

医療の世界で有名なものとして、3た論法というものがあります。

 

〇〇をした→治った→だから〇〇は効果があった。

 

という様な考え方のことを指します。

 

一見正しい思考法のように見えますが、実はこれは非常に良くない推論として有名です。

非科学的な思考法であり、歴史的にみても、こうした思考法のせいで人類は多大な失敗を重ねてきました。

 

詳細が気になる方は調べてみると面白いと思います。

(3た論法の例:雨乞いをし、雨が降っ、ゆえに雨乞いは効い。)

※3つの”た”が続くことから「3た論法」と呼ばれています。

 

 

それ自体は問題ではあるのですが、これは捉え方を変えると、初心者であれば細かい理屈など無視しても結果が出ることを意味します。

 

運動に限らず、何かを新しく取り組むなら結果がでた方が楽しいものです。

 

そうした成功体験が継続につながり、好きという感情に変わっていきます。

 

そのため初心者の方であれば、最初の内はやり方にこだわりすぎず、まず取り組んで成功体験を積み重ねるという手法が非常に効果的となります。

 

筋トレの際に最低限、注意したいこと。

 

 

ただ個人的には理屈は抜きにしても、筋トレに関しては最低限、以下の点にだけは注意して取り組んでいただければと思います。

 

  • フォームを注意する。
  • 疲れるまでやる。
  • 毎日同じ時間に(条件で)、体組成計を用いて測定する。

 

 

その理由に関しては以下の通りです。

 

  • フォームを注意する。→ケガ予防のため。
  • 疲れるまでやる。→筋肉を増やすための必須条件であるため。
  • 毎日同じ時間に(条件で)、体組成計を用いて測定する。→フィードバックがある方が良い変化に気づきやすい。

 

フィードバックに関して補足すると、これは運動継続の観点からも非常に重要となります。

 

結果がでていても意外と気が付かない人が多い。

 

 

運動継続のための重要因子として、成功体験があることはご紹介しましたが、何をもって成功とするかは様々です。

私が普段働いていても、意外に多いと感じるのが、実際に結果はでているのに本人が気づいていないというケースです。

 

前はできていたことが難なくできているのに気づいていない。

 

同じ動作をしても痛みがでていたのに、それを忘れてしまっている。

 

などというケースに沢山遭遇したことがあります。

 

自分が思っている以上に、人は忘れる生き物です。

 

そのため、本来は結果がでているのにも関わらず、それに気づけないという場合が多くあります。

 

 

これは非常に勿体ないことです。

 

それを避けるために、体組成計を用いて客観的な記録をとったり、抽象的でも良いので、その時々に感じたことや症状を記録しておくというのは有効となります。

 

ちなみに言うと、運動の専門家にかかることのメリットの1つとして、こうした見逃しやすいフィードバックを貰えるという利点もあります。

 

前と比べて、何が良くなっていたのかに気づき、自覚することができれば、それはそのまま成功体験となります。

 

何においてもそうだと思いますが、こうした小さな成功体験の積み重ねが非常に重要になってきます。

 

運動が続かないという人も、運動が嫌いだという人も、少し視点を変え、成功体験を積み重ねるということに焦点をあてることは非常に有効となります。

 

たとえ忙しくても、好きなことであれば自然とそれに取り組むようになります。

それどころか、取り組まないと気持ちが悪い、取り組みたいといった気持に変わっていきます。

 

良ければぜひ試していただければと思います。

 

6.まとめ

 

  • 働きながら運動を継続できている人の動機として最も重要なのは「楽しさ・高揚感」である。
  • 運動を継続するには、続け方よりも運動嫌いを克服する方が効率的である。
  • 運動を嫌いを克服する際のポイントは成功体験を積み重ねることである。
  • 学生時代の失敗経験はただ単に”環境“が悪かっただけで、運動音痴であるわけではない可能性が高い。
  • 運動に苦手意識がある人でも、それはただの勘違いで、意外と運動センスのある人は多い。
  • 有酸素運動は、自分が快適と思う程度の負荷から始めるのがおススメ。
  • 筋トレは初心者であれば、やり方を間違っていても結果は見込める。
  • 小さな成功体験を積み重ね、自己効力感を高めることが、運動のやる気UPや継続に繋がる。

 

今回のブログの参考文献。
・中嶋寛之,スポーツ医学の立場からみた小学校の体育.NAP Limited 201
・橋本公雄,斉藤篤司.運動継続の心理学 快適自己ペースとポジティブ感情,福村出版.2015
・横山啓太郎.本気で生活習慣病を改善するための行動変容アプローチ.クリニコ出版.2019
・奥原剛.実践 行動変容のためのヘルスコミュニケーション.大修館書店.2021

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