ダイエットに関しては、「挑戦したことのある人」や「いつかは挑戦しようと興味を持っている人」もいるかもしれません。
ダイエットは世界中でも興味関心の高い分野であり、1年程前の記事ですが以下のような記事もあるくらいです。
減量・体重管理ダイエット市場は2027年までCAGR10.5%で成長する見込み
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この記事によると減量・体重管理ダイエットの世界市場は2019年には約1,920億米ドルとなり、2020年~2027年の予測期間には10.5%以上の高い成長率が見込まれているとのことです。
減量となると体脂肪を落とすことがメインになりますが、程度の差はあれど”体脂肪を落とす”ところまではそれなりに成功した方もいるかもしれません。
そのため、ダイエットを成功させるには体脂肪を落として減量する以上にリバウンドの防止、つまりは減量後の体型をいかにキープするかに焦点をあてることが重要になってきます。
そんなリバウンドを防止する(ダイエットを成功させる)ためにはいくつかのポイントがあるのですが、今日はその数あるポイントの中の1つについてご紹介したいと思います。
結論を先に書くとそのポイントとは
です。
目に見えて体重が減る方が効果が高くて、取り組んでいて楽しいかもしれません(・_・)
当然ながら、そうしたダイエット方法が魅力的にうつるかもしれません、、、(;¬_¬)
しかしそうしたダイエット方法には注意も必要です。
むしろ本当にダイエットを成功(リバウンドを防止)させたいなら、そのような上手い話の誘惑には乗らない方が賢明かもしれません。
今日はそんなダイエットに関してのちょっとした注意点と成功のポイントの1例について紹介します。
1.結果が目に見えてでやすいダイエット法をおすすめしない理由とは?
以前にも同じことを書きましたが、体重を落としたいのであればつまるところ、カロリー収支をマイナスにすれば良いので
- 消費カロリーを減らす
か
- 摂取カロリーを減らす
といった手段をとれば良いことになります。
そして、本当に短期間で減量という結果を出したいのであれば後者の摂取カロリーを減らす、、、つまりは過度な食事制限といった手法を取り入れるのが圧倒的に結果が目に見えてすぐ表れます。
短期間で圧倒的な効果を出すダイエット法の代表例ともいえる過度な食事制限、、、
ただ、私のブログを読んでいる方はわかると思いますが私個人としてはそれはおすすめしません^^;
過度な食事制限をおススメしない理由とは?
理由を挙げるときりがありませんが、強調しておきたい理由としてまずは
からです。
いや!さっき、食事制限をするのが圧倒的に結果が目に見えてでるって言ったじゃないか!<(`^´)>
となるかもしれませんが、失敗する可能性が高いというのは長期的に見た際に失敗する可能性が高いという意味になります^^;
例えば過去のブログでも取り上げましたが、以下のグラフでもそれがわかります。
(Marion J Franz et al. Weight-loss outcomes: a systematic review and meta-analysis of weight-loss clinical trials with a minimum 1-year follow-up.J Am Diet Assoc. 2007 Oct.より引用)
これは減量に焦点を当てたランダム化比較試験で、かつ追跡期間が1年超のものである80件の研究をまとめた論文から引用した図になります。
(過去ブログ参照:減量するなら”食事”と”運動”のどちらが大事?)
これを見ると一目瞭然で、短期間ですごい速さで減量している水色の線があります。
この水色の線は、減量する際の方法として1日800kcal以下といった非常に厳しい食事制限をとった結果を表しております。
他の方法と比べてもダントツの減量スピードではあるのですが同時に、減量した後の戻り具合もすごいことがわかります。
ただ元に戻るだけであればまだ良い(?)ようにも思えるのですが、、、困ったことに話はそれだけにとどまりません^^;
失敗だけにとどまらない過度な食事制限のデメリットとは?
過度な食事制限によるダイエットがおすすめできないもう1つの理由は、
からです。
もしダイエットのために厳しい食事制限を検討しているといった人は、それが身体にとってもデメリットの非常に大きい手法であるということは最低限知っておいた方が良いと思います。
確かに減量といった指標だけでみると非常に短期間で結果がでる手法ではあります。
また、そうした手法を選ぶか選ばないかは本人次第ではあり自由です。
が、もし取り入れるといった場合もそうした短期間で減量できるといったメリットの裏側にあるデメリット部分も知っておいて損はないと思います。
利用可能エネルギーの低下とそれがもたらす多種多様な悪影響とは?
例をあげると、そのデメリットに関連する概念である”Energy Availability”というものがあります。
Energy Availabilityとは日本語にすると”利用可能エネルギー”を意味しますが文字通り、身体が必要とするエネルギーが十分に足りているかといった概念になります。
そして女性のスポーツを考えた際に必ずといってでてくる言葉で
というものがあります。
三主徴とは
- 低Energy Availability
- 無月経
- 骨粗鬆症
を指すのですが、実は適切なEnergy Availabilityを確保できていなければ”月経異常”や”骨粗鬆症”のリスクが高まることがわかっています。
(参照:スポーツ庁委託事業 女性アスリート育成・支援プロジェクト 女性アスリートのコンディショニングと栄養)
また正常月経アスリートと比べて無月経アスリートは疲労骨折の発症率が高いことなども指摘されているので注意が必要です。
さらに言うとこうした身体のエネルギー不足は免疫や代謝、心血管系、成長・発達といった多方面に悪影響を及ぼすといった問題も指摘されています。
(引用:スポーツ庁委託事業 女性アスリート育成・支援プロジェクト 女性アスリートのコンディショニングと栄養)
※減量方法についてではありませんが、痩せすぎからくる健康への悪影響について興味のある方は過去のブログもご参照ください。
(過去ブログ:痩せていることのデメリットって何?)
つまりはダイエットのためとは言え、過度に食事制限をし、身体のエネルギー不足の状態が続くとこうした悪影響を招くといったリスクがあるのです。
こうした予防のためにも適切な食事をとるということが非常に重要となります。
(参照:FAL project いま知りたい女性のカラダのこと 女性スポーツにかかわるすべての人へ)
(このあたりのエネルギー管理についても追々、ブログで取り上げていきます。)
過度な食事制限は身体の筋肉も一緒におとしてしまう?
さらにその他のデメリットとしては、こうした超低エネルギー食といった食事介入では体脂肪だけでなく筋肉まで一緒に減少してしまうといったリスクがあります。
太っている人が短期間に痩せて筋肉質になったような写真や映像が宣伝などでもよくありますが、場合によってはただ単に体脂肪が落ちてその下にある筋肉が見えてきているだけといったパターンがあります。
しかし、実際のところは筋肉質に見えるだけで身体組成的には筋肉量がかなり落ちてしまっているといったケースがあります。
極短期間の減量では、筋肉量もかなり落ちてしまっていると考えてほぼ間違いないと思います。
ダイエットの正攻法とは?
筋肉量が減少するデメリットについては挙げればキリがない上に今までも度々取り上げてきたので今回は省略しますが、あくまで個人的な考えとしては
といった手法をとっていただきたいと私は思っています。
と感じるかもしれません。
確かにこれを達成するにはそれなりのテクニックが必要となりますが、ポイントを踏まえればこの両立に関してはある程度可能です。
ただ誤解のないように補足すると、あくまでも減量の戦略としてある程度の”筋肉量の維持”と”体脂肪の減少”の両立が可能であるといった意味であることは再度強調しておきたいところです。
なぜ同じことを2回書いたかというと、似たような表現に聞こえてしまうかもしれませんが、もしこれが筋肉量の”維持”ではなく筋肉量を”増やす”といったことになると少し話が変わってくるからです^^;
その人の運動歴や現在の身体の状況にもよるので一概には言えませんが、基本的に筋肉量を増やすことと体脂肪を落とし減量することの両立は難しく、もし達成するならばどちらかに目標をしぼる方が効率的であるといわれているからです。
筋肉量を増やすことと体脂肪を減らすこと、、、これに関しては二兎を追う者は一兎をも得ずといった事態になる可能性が高いものとなります。
そのためここで再度誤解のないように確認しておきたいことは、現実的に可能なのは筋肉量の維持と体脂肪量の減少の両立です。
(しつこいですが筋肉量の増加ではありません^^;)
2.デメリットを避け、最大限メリットだけを享受するダイエット法のポイントは?
それでは、以上のようなデメリットを避けたダイエットをするにはどういった方法が良いのでしょうか。
そのポイントの1つが
です。
理想的な減量ペースは?
そしてその具体的な数値はというと
といった目安がおすすめです。
- 体重40kgの人であれば週0.2~0.4kg、1か月(4週)で0.8~1.6kg
- 体重50kgの人であれば週0.25~0.5kg、1か月(4週)で1~2kg
- 体重60kgの人であれば週0.3~0.6kg、1か月(4週)で1.2kg~2.4kg
といったペースとなります。
このくらいのペースでの減量が筋肉量を最大限キープできると考えられています。
(参照:Eric C helms et al.Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation.Journal of the International Society of Sports Nutrition volume 11.2014)
これだけでは心もとないので、一応その他資料での減量のペースについてもご紹介すると、、、
全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のテキストには減量を安全に行うためのペースとして、週あたり0.5~1kgといった目安を設けています。
また私の過去ブログでも取り上げましたが、米国心臓病学会にある肥満の管理に関するガイドラインのベストな導入方法について書かれた資料によると、最初の体重減少目標として現実的なペースとしては6ヶ月間で5~10%であるとしています。
(過去ブログは まずは3%の減量から。肥満について知っておきたいこと4つ を参照。)
これらをいったん整理してみると、、、
- 1週間に体重の0.5~1%減(ナチュラルボディビルのコンテスト準備のための推奨事項)
- 1週間に0.5~1kg(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会の推奨)
- 6か月で体重を5~10%減(米国心臓病学会のガイドラインのベストな導入方法)
となります。
つまりこういった資料を参照してみても、身体の健康被害や筋肉量の減少といったリスクの対処として減量のペースはある程度ゆるやかにするのが良いことがわかります。
3.おわりに
急いては事を仕損じるといった言葉がありますが、ダイエットにもこれはあてはまるといえます。
今日は軽くさわりの部分だけでしたが、さらに突っ込んだところになると、では実際に今日ご紹介したような減量ペースを達成するには
- どういった方法でカロリー収支を管理するのか。
- 様々な推定値をどうやって計算するのか。
- 導かれた理論値と現実のギャップをどのようにして埋めていくのか。
といったテクニカルな話もでてきます。
また、今回はダイエットを成功させるポイントの1つとして減量ペースをとりあげましたが、他のポイントとしてどんなものがあるかというと、
- 三大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質)のバランス
- 取り入れる運動の種類やその負荷量
といったものがあります。
ダイエットというものも何とも奥が深い世界です。
こういったことも追々取り上げていきたいと思います^^